東京都豊島区の事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方・条例・ルール・罰則を解説します
東京23区内の中でも豊島区は、平成24年から平成28年の推移を見ると、事業所の数、従業員数ともに増加している数少ない区です。
特に事業所数は5.9パーセント増と渋谷区、世田谷区に次ぐ増加率となっています。その中でも増えているのが、宿泊や飲食サービス業です。以前から多かった卸売業や小売業は、数は減っていないものの、伸び率としては横ばいです。
産業別の比率でみると、卸売や小売業に加え、サービス業や宿泊業が全体の6割に達します。豊島区では、従業員が10名未満と小規模または個人事業主として事業を営む事業所が約7割です。特に不動産業や飲食業は従業員数が少ない傾向にあります。
豊島区には、複数路線が入る池袋駅近くにある池袋区役所を中心に多くの印刷業者や印刷関連会社があり、特に東池袋には大小様々な企業が点在しています。
地方に大規模な工場を持ち、一括大量受注ができる印刷業者もあれば、社内でデジタル印刷機を保有してスピーディーに注文にこたえる企業もあり、それぞれの会社で得意分野も異なっているため、ニーズに合った印刷を依頼できるようになっています。
豊島区は商業地域や第1種中高層住居専用地域の占める割合の高いエリアです。商業地域は、商業における利便性を図ることに特化したエリアのことを指し示す言葉です。住宅や小規模な工場なども混在しますが、主には銀行や映画館、飲食店や百貨店、オフィスが立ち並ぶエリアです。
第1種中高層住居専用地域は、中高層住宅の良好な居住環境に特化したエリアのことを指し示す言葉です。近隣に設けられる大学や病院のほか、その他の目的の建設物(店舗やオフィスなど)には500平方メートルという規制が設けられています。
豊島区ではJR山手線沿線に商業地域が広がり、特に大きいのが池袋駅周辺エリアです。こちらには、ショッピングが楽しめ、レストランや水族館なども入るサンシャインシティがあり、池袋駅までの道沿いにも大小さまざまな商店が立ち並びます。商業地域では、商品や食品などが入っていた段ボールや梱包材、食品調理の際に出る生ごみなどが多くなるようです。
そして、商業地域を取り囲むようにして第1種中高層住居専用地域をメインとする住居エリアが広がっています。こちらのエリアでは、マンションなどから出される家庭ごみとともに、中高層建物に併設されることが多いスーパーマーケットや店舗などから出される、流通過程で発生するごみが多くなることが考えられます。
豊島区では、昔から住んでいる住民が多く下町情緒が残る巣鴨が、子育てがしやすく住みやすいと人気です。お年寄りでも利用しやすい商店街があり、人との結びつきが感じられることも、池袋駅周辺の繁華街とは異なる魅力といえます。大規模な公園が少ないとされていた豊島区ですが、2019年までに南池袋公園、中池袋公園、池袋西口公園が整備され、区のパートナー企業や住民とともに居心地の良い公園づくりが進められています。
豊島区では、家庭ごみと事業ごみで取り扱い方法が異なります。まず、豊島区で家庭ごみを出す場合は、燃えるごみ・資源ごみ・紙や布類・金属や陶器、ガラスごみに分けて、それぞれの地域ごとに決められている曜日や日にちに、指定の収集場所に出す必要があります。また、家具など、一辺が30センチメートルを超えるものは粗大ごみです。粗大ごみを出す場合は受付センターにインターネットか電話で申し込みをし、収集予定日と有料粗大ごみ処理券の枚数を確認します。そして、収集日の午前8時までに既定のごみ処理券を貼付して指定の場所に出すと引き取ってもらえます。
一方、事業ごみは原則として豊島区では収集しません。ですが、一日に出る事業ごみまたは臨時で出す事業ごみが10キログラム未満の場合は、事業系有料ごみ処理券を添付すると収集してもらうことができます。それ以外は、各社で事業ごみを取り扱う処理業者に依頼し、一般廃棄物と産業廃棄物に分けて出す必要があります。
マニフェスト(manifesto)は、個人や団体が方針や意図を公に発信するための文書や演説のことを言い、産業廃棄物のマニフェストは、排出事業者が産業廃棄物の処理を産廃業者に委託するにあたり、委託契約内容に基づき適正に処理されていることを確認するために必要な事項を記載し交付される伝票のことを指しています。
排出事業者とはごみを出す法人のことを言い、東京23区については日量100キログラム以上排出する事業者もしくは臨時で排出する事業者は事業系一般廃棄物についてもマニフェストの作成が義務付けられています。
東京都豊島区を収集エリアに持つ産業廃棄物処理業者の中で、金額の目安を示している業者名と料金を記載します。各社で単位がまちまちであるため、比較しやすいよう、一般的に事業ごみを出す場合に使用する45リットルのごみ袋一袋に換算して料金を考えてみます。
ごみの収集からリサイクルまでを担うA社では、定期収集を利用した場合の45リットル一袋の値段を455円としています。また、東京都内で産業廃棄物処理を行うB社では、軽量の混合廃棄物1立方メートル当たりの料金を14,300円としており、45リットルに換算すると640円ほどです。また、埼玉に本社があり東京都を収集エリアに持つC社も、45リットル換算で640円としています。
東京二十三区清掃一部事務組合では、産業廃棄物1キログラム当たりの料金が15.5円で、45リットルに換算すると約700円です。群馬や埼玉とともに東京23区を事業エリアとしている産業廃棄物処理業者E社では、廃プラや木くず、紙くずや多少の金属など可燃性の混合廃棄物を出す場合、1キログラムあたり税込みで71.5円としており、45リットルに換算すると610円ほどとなります。なお、どの会社も収集するごみの種類や収集方法などにより、料金が異なる場合があるため、事前の確認が必要です。
ごみ.Tokyo | 約343円 |
A社 | 455円 |
B社 | 約640円 |
C社 | 約640円 |
東京二十三区清掃一部事務組合 | 約700円 |
E社 | 約610円 |
人口密度が高く事業所も多い豊島区では、SDGsを意識して、ごみの減量と循環型社会の実現を目指し、努力中です。まず、家庭ごみと事業系ごみの実態調査を定期的に行い、ごみの減量に効果的な施策の掘り起こしを行っています。
また、地域団体などが行う集団回収や回収ボックスを設置する拠点回収を充実させ、紙類や布類、金属類などのリサイクルを進めています。
さらに、フードロスの削減を目指して集めた食品を必要な方に渡したり、リサイクルセンターでは廃棄物として収集したものの、まだ使用可能な家具などを展示して、リユースを促進しているようです。
SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を省略した言葉で、2015年9月の国連サミットで国連加盟193か国が、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標を指しています。
SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に対する取り組みとして、日本でも産業廃棄物の排出に伴う適切な処理についてルールが整備されています。「つくる責任、つかう責任」にはターゲットと呼ばれる、11の更に具体的な目標が掲げられており、そこには具体的に以下のような内容が示されています。
11のターゲットの例:
・2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
・2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。