東京都台東区の事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方・条例・ルール・罰則を解説します
東京23区の北東部に位置する台東区では数多くの企業や個人事業主が事業を営んでいますが、その中でも最も多くの比率を有しているのが印刷業や印刷関連業に従事する事業者です。平成30年6月時点の調査では、工場数では区全体の18.8パーセント、従業者数では20.5パーセントがこれらの業種に関連するものとなっています。
台東区では、印刷業や印刷関連業と並んで、皮革関連、貴金属・宝石を扱う製造業も盛んです。特に、区の北部にある今戸・橋場地区は、皮革製品のメーカーや卸売業が数多く存在しており、なめし革や同製品の一大産地となっています。
また、上野駅や御徒町駅の周辺エリアには、ジュエリータウンおかちまちを中心として、貴金属や宝飾品を扱う工場や小売店などが集積しており、割安な価格で製品を買うことができるとあって、全国各地から数多くの購入希望者が訪れます。
台東区には、上野駅や御徒町駅の周辺をはじめとして、区内各所に大規模なオフィス街や繁華街が存在します。そのため、同区の特徴として、商業地域が占める割合が高いという点が挙げられます。この商業地域というのは、商業の利便性を図るということに特化したエリアであり、主に銀行などの金融機関や映画館などの娯楽施設に加え、飲食店や百貨店、オフィスなどが立ち並んでいますが、それ以外にも住宅や小規模工場なども混在しています。
前述の通り、それらのエリアには印刷業や印刷関連業に加え、製造業に従事する事業者が数多く存在しているため、排出されるごみの多くは、可燃ごみや不燃ごみとなっています。
台東区には、商業地域の他に、良好な居住環境に特化したエリアである第1種住居地域も存在します。この地域には、住宅以外に店舗やオフィス、ホテルなどの建設物を設けることも可能ですが、3,000平方メートルという規制があるため、大規模な商業施設などは作れません。
なお、代表的な第1種住居地域には、隣接する根津や千駄木と併せて「谷根千」という愛称で呼ばれることもある谷中などがあります。ここは、関東大震災や第二次世界大戦における被害が少なかったため、昔ながらの古い町並みや仏教関係の建造物がたくさん残されている落ち着いたエリアです。
次に、台東区で事業ごみを出す際の処理方法について見ていきましょう。
台東区で事業を営む事業者は、事業によって排出されたごみを、事業系一般廃棄物と産業廃棄物に分類した上で、自らの責任において処理する必要があります。もし、自分で処理することが困難である場合には、許可を受けた一般廃棄物処理業者や産業廃棄物処理業者に委託して処理してもらうようにしなければなりません。
ただし、排出量が1日45リットル袋で3袋まで、かつ総量50キログラム未満である場合には、例外的に事業系一般廃棄物を区の収集に出すことが可能です。その場合は、排出量に応じた有料ごみ処理券を購入し、ごみ袋に貼りつけたうえで、家庭ごみと同様の分類で所定の場所に出す必要があります。
一方、家庭ごみの場合には、事業ごみと違って有料ごみ処理券は必要ありません。燃やすごみ、燃やさないごみ、資源ごみに分類した上で、決められた曜日にごみステーションなどに出しておけば、作業員がやってきて回収して行ってくれるのです。
マニフェスト(manifesto)は、個人や団体が方針や意図を公に発信するための文書や演説のことを言い、産業廃棄物のマニフェストは、排出事業者が産業廃棄物の処理を産廃業者に委託するにあたり、委託契約内容に基づき適正に処理されていることを確認するために必要な事項を記載し交付される伝票のことを指しています。
排出事業者とはごみを出す法人のことを言い、東京23区については日量100キログラム以上排出する事業者もしくは臨時で排出する事業者は事業系一般廃棄物についてもマニフェストの作成が義務付けられています。
続いて、台東区における産業廃棄物の処理料金の相場を把握するために、同区で事業展開を行っている5つの業者の料金を見ておきましょう。なお、以下に記載した金額は、いずれも45リットル袋1袋分の可燃ごみの処分を委託する場合のものです。
ごみ.Tokyo | 約343円 |
A社 | 1,250円 |
B社 | 1,300円 |
C社 | 1,400円 |
D社 | 1,300円 |
E社 | 1,200円 |
台東区では、国連が提唱するSDGsの達成に向けて、様々なリサイクル事業やリユース事業に取り組んでいます。例えば、家庭で使われずに眠っている食品を持ち寄って、食糧を必要としている団体や個人に提供するフードドライブを定期的に実施したり、不要になった衣類や日用品の再利用を促進するために区内の公園等でフリーマーケットを開催したりしているのです。
また、できる限りごみを減らすために、家庭から出る古紙や古布、缶、びんなどを地域の住民が自主的に集め、ごみに出さずに回収業者に引渡す集団回収という活動も行っています。
SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を省略した言葉で、2015年9月の国連サミットで国連加盟193か国が、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標を指しています。
SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に対する取り組みとして、日本でも産業廃棄物の排出に伴う適切な処理についてルールが整備されています。「つくる責任、つかう責任」にはターゲットと呼ばれる、11の更に具体的な目標が掲げられており、そこには具体的に以下のような内容が示されています。
11のターゲットの例:
・2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
・2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。