東京都品川区の事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方・条例・ルール・罰則を解説します
品川区は港湾エリアがあり、陸上交通の要所でもあったことから、古くから電機や機械分野の製造業が盛んでした。ですが、コスト削減や販路拡大を求めて生産拠点を海外に移す企業が後を絶たず、現在では本社機能や研究開発拠点を残すだけの企業が多くなっています。
変わって台頭してきたのが、情報処理産業です。産業構造が柔軟に変化した結果、東京都内全体では事業所数、従業員数ともに減少傾向にあるにも関わらず、品川区では従業員数が2.4パーセントの増加となりました。
品川区は、副都心エリアとして昭和57年から長期計画を立ててエリア形成を目指しました。平成14年には大崎駅周辺の約60ヘクタールが都市再生緊急整備地に指定され、地元企業などと協調して開発がすすめられてきたようです。
その結果、大崎駅や五反田駅周辺地域が「五反田バレー」として発展し、製造業との融合をメリットと感じる情報処理産業、その中でもインターネット付随サービスを提供する企業が多数進出しています。インターネット関連事業は、大企業の進出もさることながら、スタートアップ企業や個人事業主の活躍も目立ちます。
品川区は準工業地域の占める割合の高いエリアです。準工業地域は、周辺環境の悪化の恐れがない軽工業における利便性を最も重視したエリアのことを指し示す言葉です。住宅や店舗、学校や病院などと隣接して、危険のない工場や倉庫なども立ち並びます。
品川区には準工業地域が点在していますが、特に大きいエリアの一つが、国道357号線の海岸通り沿いとなる東品川3丁目から東大井1丁目近辺の地域です。交通の便が良いため、以前は製造業に加え、卸業や倉庫などが多かったものの、工場跡地に「品川シーサイド」といったインテリジェントビルやショッピングセンターなどが立ち並ぶようになった地域もあります。
そのため、オフィスで使用される用紙類やシュレッダーをかけた紙屑、商業地区から段ボールや食品廃棄物などが出されるようになっています。さらに東京湾に面した八潮地区は、コンテナターミナルや貨物ターミナル、東海道新幹線の車両基地などがあります。そのため、輸送の過程で出される廃棄物が多いことが考えられます。
品川区は発展が目覚ましい地域も多いですが、昔ながらの景観を残しつつ、地域住民の生活の拠点となってきた場所が残っています。その一つが、武蔵小山です。全長800メートルほどのアーケードがある商店街があり「東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づく街並み再生地区」「武蔵小山賑わい軸地区」の指定を受けて、魅力ある街づくりがすすめられてきました。
品川区では、憩いの場となる公園も整備されています。その中でも「しながわ区民公園」は、緑化の促進と自然の回復をモットーとし、大規模なレクリエレーションができる場所を確保しています。公園内はスポーツができる場所や子供を安心して遊ばせられる場所、桜を鑑賞できるエリアやキャンプができる区画などに分けられ、訪れる人は思い思いに過ごせるようです。
品川区の家庭ごみで、燃やすごみや陶器・ガラス・金属のごみは、各戸収集となっており、おおむね午前8時までに、一戸建ての方は玄関先や門の前、集合住宅の方は敷地内の決められた場所に出す必要があります。
また、資源ごみは、資源回収ステーションに出すようになっています。一辺が30センチメートル以上のごみは粗大ごみとなり、受付センターに事前に申し込みをして、収集日当日に有料の粗大ごみ処理券を貼って指定の場所に出します。
品川区の事業ごみは、一般廃棄物と産業廃棄物に分け、それぞれの許可を持つ処理業者に引き取ってもらいます。なお、1日のごみの排出量が平均40キログラム未満の場合は、品川区のごみ収集を利用することができます。事業ごみはすべて有料で、ごみ袋の容量に応じた「有料ごみ処理券」を貼って出します。また、資源ごみを出す場合にも、容量に応じた「有料ごみ処理券」の添付が必要です。
マニフェスト(manifesto)は、個人や団体が方針や意図を公に発信するための文書や演説のことを言い、産業廃棄物のマニフェストは、排出事業者が産業廃棄物の処理を産廃業者に委託するにあたり、委託契約内容に基づき適正に処理されていることを確認するために必要な事項を記載し交付される伝票のことを指しています。
排出事業者とはごみを出す法人のことを言い、東京23区については日量100キログラム以上排出するもしくは臨時で排出する事業者は事業系一般廃棄物についてもマニフェストの作成が義務付けられています。
品川区では事業系のごみを一般廃棄物と産業廃棄物に分けており、収集する業者も分かれています。そのうち、品川区を含む東京都で産業廃棄物を扱い、目安となる金額を提示している会社の中から、使用されることが多い45リットル一袋に換算して産業廃棄物の取り扱い料金を調べてみます。
まず、東京都内で産業廃棄物の受付を行っているA社では、定期的なルート回収を利用すると一袋で455円となります。また、B社では、4トンアームでの回収の場合に25,000円から35,000円ということなので、45リットル一袋換算の値段は、1,300円前後ということになります。そして、東京二十三区清掃一部事務組合では、1キログラム当たり15.5円としているので、45リットル換算では675円ほどということができます。
関東一円で産業廃棄物などの収集にあたるC社では、軽量の混合廃棄物の場合に1立方メートル当たり14,300円からとなっているので、45リットル換算で640円ほどとなります。ごみ処理のエキスパートとして東京都を回収エリアに持つD社でも同様の基準価格で、軽量の混合廃棄物の場合に1立方メートル当たり14,300円からとなっているので、45リットル換算では640円ほどです。
料金のばらつきは、どのようなサービスを提供するかで異なってきているようです。なお、業者の選定にあたっては、品川区の有料ごみ処理券の料金が45リットル券1枚あたり342円であることを目安に、サービスの質やバランスを考えるとよいでしょう。
品川区では、21世紀は大量生産・大量消費ではなく、資源循環型社会として成長していく必要があるとしています。この取り組みは、持続可能な社会を目指すSDGsの考え方と一致します。
実際、品川区のホームページでは、自分の生活を診断できる質問項目を10個提示しており、診断結果を元に行動を変化させることで、SDGsに即した生活が送れるようになるはずです。また、マイバッグを持って買い物に行き、不要なレジ袋をもらわないよう推奨しています。
SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を省略した言葉で、2015年9月の国連サミットで国連加盟193か国が、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標を指しています。SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に対する取り組みとして、日本でも産業廃棄物の排出に伴う適切な処理についてルールが整備されています。
「つくる責任、つかう責任」にはターゲットと呼ばれる、11の更に具体的な目標が掲げられており、そこには具体的に以下のような内容が示されています。
11のターゲットの例:
・2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
・2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。