東京都世田谷区の事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方・条例・ルール・罰則を解説します
はじめに、世田谷区にオフィスを構える企業や個人事業主には、どのような業種に属するものが多いのかを見ておきましょう。併せて、区内にある代表的な第1種低層住居専用地域や各エリアの特徴についても紹介します。
世田谷区内には数多くの企業や個人事業主がオフィスを構えていますが、その多くは第三次産業に従事しています。もっとも多いのは、平成28年時点で約6,700ある小売業者で、そのうちの多数を占めているのが飲食料品小売業者です。これは二子玉川や三軒茶屋、下北沢といった東京を代表する繁華街が区内にいくつも存在することを受けてのものです。
世田谷区は、世田谷、北沢、玉川、砧、烏山という5つの地区から構成されているのですが、このうち、二子玉川は玉川地区、三軒茶屋は世田谷地区、下北沢は北沢地区の中心エリアとなっています。そのため、この3つの地区は区内でも小売業が盛んな場所であると言うことができるでしょう。
世田谷区は、都心部に通勤する人のベッドタウンとして成長してきたという歴史があり、区内には誰もが一度が耳にしたことがあるような高級住宅地がいくつも存在します。それらの多くは、第1種低層住居専用地域に指定されています。
この第1種低層住居専用地域というのは、一定の高さ以上の建物の建築を制限することによって、低層住宅の良好な居住環境が維持されているエリアであり、そこには一戸建てに加えて、その近隣の小中学校や住宅兼用の小規模なオフィスや店舗などが混在しています。世田谷区にある代表的な第1種低層住居専用地域は、小田急線の成城学園前駅周辺の成城や東急田園都市線の桜新町駅周辺の深沢などです。
なお、優良な住宅地や飲食料品小売業者が多数存在することを受けて、世田谷区で出されるごみには、他区と比べて可燃ごみや資源ごみが多いという特徴があります。
世田谷区には、田園住居地域というエリアが設けられています。これは、農業が盛んな田園地帯と市街地を調和させることを目的として2018年に創設されたもので、住宅に加えて、米や野菜などの直売所や農地などを設けられるようになっています。他のエリアと比べると、緑豊かで優れた環境が維持されているというのが魅力です。
続いて、世田谷区における事業ごみの出し方について説明します。
世田谷区で事業ごみを出す場合には、産業廃棄物と一般廃棄物に分別した上で、許可を受けた廃棄物処理業者に処理を委託するのが原則です。ただし、ごみの排出量が日量10キロ未満の事業者については、家庭ごみの収集に支障を来さない範囲で、事業ごみを集積所に出すことが可能となっています。
具体的には、可燃ごみであれば、1回の収集につき45リットルのごみ袋で3袋程度であれば、事業ごみであっても家庭ごみと一緒に出せるのです。ただし、事業ごみを収集所に出す場合には、家庭ごみと分けたうえで、袋の容量に応じた事業系有料ごみ処理券を貼付する必要があります。
処理券はコンビニエンスストアで購入できるので、あらかじめ用意した上で、事業所名を記入しておく必要があります。段ボールや古紙、アルミ缶、ペットボトルなどについても同様ですが、燃えるごみとは収集日が別になっているので、その点に留意する必要があります。
一方、家庭ごみの場合には、特にごみ処理券は必要ありません。燃えるごみ、燃えないごみ、資源ごみなど、種類に応じて収集日が異なるため、決められた日に所定の収集場所に出しておけば、作業員がやってきて回収してくれます。なお、家庭で事業を営んでいる場合には、日常生活で出たごみと事業で出たごみを分けて処分する必要があるという点に注意しなければなりません。
マニフェスト(manifesto)は、個人や団体が方針や意図を公に発信するための文書や演説のことを言い、産業廃棄物のマニフェストは、排出事業者が産業廃棄物の処理を産廃業者に委託するにあたり、委託契約内容に基づき適正に処理されていることを確認するために必要な事項を記載し交付される伝票のことを指しています。
排出事業者とはごみを出す法人のことを言い、東京23区については日量100キログラム以上排出する事業者もしくは臨時で排出する事業者は事業系一般廃棄物についてもマニフェストの作成が義務付けられています。
世田谷区で事業ごみの処理を行っている処理業者はいくつもありますが、ここではその中の代表的な5社の料金水準を紹介します。記載している金額はいずれも、燃えるごみを45リットルのごみ袋で出した場合の1袋分の金額です。
ごみ.Tokyo | 約343円 |
A社 | 1,000円 |
B社 | 1,500円 |
C社 | 1,800円 |
D社 | 2,000円 |
E社 | 1,200円 |
世田谷区では、持続可能な社会の実現に向けて、国連が提唱するSDGsの考え方に基づいて、様々な取り組みを行っています。具体的には、一般廃棄物処理基本計画において、区民1人1日あたりのごみ排出量を、平成30年度の530グラムから、令和6年度までに482グラムに削減することを目標として掲げており、そのためにリデュースとリユースという2つのRを重視する方向性を明確にしているのです。
SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を省略した言葉で、2015年9月の国連サミットで国連加盟193か国が、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標を指しています。
SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に対する取り組みとして、日本でも産業廃棄物の排出に伴う適切な処理についてルールが整備されています。「つくる責任、つかう責任」にはターゲットと呼ばれる、11の更に具体的な目標が掲げられており、そこには具体的に以下のような内容が示されています。
11のターゲットの例:
・2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
・2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。