飲食店、食品加工業の事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方を解説します
飲食店の経営は多忙です。店内の様子や従業員の勤務態度、売り上げや仕入れなどいろいろなことに目を配らなければなりません。そんなとき、つい後回しになってしまうのがごみの処理。ルールを破った状態が続いていた、などということが起きないように、定期的にごみの出し方について見直し、ルールを理解することが大切です。
まずは基本的なことを復習しましょう。飲食店から出るごみは、全て「事業系ごみ」として有料で処分してもらう必要があります。これはお店の規模に関係なく決められているため、たとえ個人経営の小さなお店であっても守らなければなりません。
事業系ごみは、更に「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分類することができます。産業廃棄物とは、廃棄物処理法で定められた20種類を指します。
これに対して一般廃棄物は、産業廃棄物以外のごみのことを指し、一般家庭で言うところの「可燃ごみ」と同じようなものを指します。では、具体的な出し方について確認していきましょう。
可燃ごみの出し方は3通りあります。まず廃棄物処理業者に回収を委託するという方法です。業者は回収したごみを行政指定の処理施設に持ち込み、ごみはそこで焼却処分となります。
ここで気をつけたいのが、どの業者でも構わないという訳ではないということです。必ず一般廃棄物収集運搬許可業者に委託する必要があります。許可を持っている業者については、自治体ホームページなどから確認することが可能です。
次に、自分で自治体の処分施設に持ち込むという方法があります。ごみは持ち込んだ処分施設で焼却処分されます。また、東京23区など一部の自治体では、一日の排出量が一定量以下の場合、ごみ処理券を貼り付けることで自治体に回収してもらうことができます。ごみは家庭ごみと一緒に回収され、指定の施設で焼却処分されます。
ごみ処理券の扱いは自治体によって異なるので、ごみ袋の状態で出す場合と、ごみ袋を利用して容器で出す場合など、出し方に合わせて正確に貼り付ける必要があります。
燃えないごみは、産業廃棄物として扱われます。こちらは自分で処分することはできず、該当する品目に対応する許可を持った廃棄物処理業者に委託する必要があります。
回収されたごみは中間処理施設で破砕、圧縮され、再利用できるものはリサイクルに回され、できないものは焼却埋め立てされます。
資源ごみとは、一般的に再資源化が可能なごみの総称を指します。飲食店の場合、缶、瓶、紙類などがこれに当たります。これらは廃棄物処理業者の他、再生資源事業者(リサイクル事業者)に回収してもらうことになります。
分類や出し方については、委託する業者とよく相談するようにしましょう。ごみはリサイクル施設に持ち込まれ、そこでリサイクルされます。
飲食店からよく出るごみは、具体的にどのように処分していけばいいのでしょうか。飲食店を経営する上で特に扱いに気をつけたいのが、生ごみです。ニオイはもちろんですが、害虫や害獣発生を引き起こすこともあるため、ごみとして出す前でも丁寧な扱いが求められます。
被害が出た場合、自分のお店だけではなく周囲の環境にも影響が出ることを忘れてはいけません。近隣とトラブルになってしまうと、お店の評判そのものに悪影響が出ることがあります。
プラスチックごみも、飲食店ではかなりの量がでるごみの種類です。プラスチックは家庭ごみの場合は可燃ごみですが、事業ごみの場合は産業廃棄物となるので注意が必要です。使い捨てスプーンやテイクアウト用の容器などがこれにあたります。
発泡スチロールは、食材の梱包に使用されるため、お店によってはかなりの量がごみとして出ます。発泡スチロールはリサイクル可能な素材ですが、非常に手間がかかる作業が必要になるため、リサイクルに出すとなると費用が嵩むことになります。段ボールも仕入れなどでよく使用されますが、汚れていない物は資源ごみとして回収してもらうことで、リサイクルに回すことができます。
空き瓶や空き缶も、飲食店ではよく出るごみです。これらは資源ごみとして扱いますが、同じ空き缶でもアルミとスチールではリサイクルのルートが違うことを覚えておくといいでしょう。
ビール瓶などのリターナブル瓶は、回収された後洗浄等の工程を経て納品業者に戻されます。また、同じ空き瓶でも、輸入酒類などの瓶はリサイクルできないことがあります。輸入酒を扱っているお店は覚えておきましょう。
フライヤーなどから出た廃油は、廃棄物処理業者以外に、廃油専門のリサイクル業者に処分を委託することもできます。その場合廃油専用のリサイクル施設にて、家畜用油脂などに再利用される流れになります。
自治体によって定められたある一定の大きさを超えるごみは、粗大ごみとして扱われることになります。飲食店の場合、店舗のリニューアルなどによって出る椅子やテーブル、オーブンや冷蔵庫などの厨房機器、パソコン、レジ、照明器具などいろいろなものが該当します。また、立て看板やディスプレイなども対象です。粗大ごみは頻繁に出るものではないので、計画的に処分する必要があります。
粗大ごみは、不燃ごみなどと同様に、該当する品目に対する許可を持っている廃棄物処理業者に委託する必要があります。回収されたごみは中間処理施設で破砕、圧縮され、リサイクルできるものはリサイクル、できないものは焼却、埋め立てされる流れになります。
当然ながら、ごみの処分を業者に委託すると費用がかかります。ごみの処分にかかる費用はできるだけ抑えたいもの、そこでごみとして処分してしまう前に、買い取ってもらえるものはないか確認するようにしましょう。特に店舗什器や厨房機器などは、状態が良ければ買い取ってもらえる可能性があります。
また、環境面を考慮してリサイクルできるものはリサイクルするのがおすすめです。買い取りとまでは行かずとも、処分ではなくリサイクルすることで費用を抑えられることがあります。業者によっては回収、買い取り、リサイクルと幅広い対応をしているところもあるので、一度検討してみるのもいいでしょう。