飲食店、食品加工業の事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方を解説します
「飲食店で使用した油の処理方法は?」
「廃油を処分する際に注意すべきことは?」
このように、廃油の処分に悩む飲食事業者の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、廃油の基礎知識から廃油を処分する際に気を付けるべきこと、廃油回収業者を選ぶポイントを詳しく解説します。
飲食店で発生した廃油を家庭ごみや一般事業系ごみと一緒に処分すると、法律違反となってしまいます。廃油を適切に処分する方法を確認していきましょう。
事業活動に伴って発生した使用済みの油を「廃油」と呼びます。廃油は産業廃棄物に該当します。
廃油の年間排出量は、約290万6000トン(令和2年度)にのぼります。そのうち44%が再生利用され、54%が減量化、2%が最終処分されています。
廃油と汚泥の違い
飲食店が廃棄する油には、調理等で使用した「廃食油」とグリストラップ清掃で生じる「汚泥」の2種類があります。
油分を5%以上含んだものは廃油と汚泥の混合物、油分が5%未満のものは汚泥に該当します。
産業廃棄物として出される廃油の種類は主に以下7つです。
飲食店から出る廃油は、主に動物性廃油と植物性廃油になります。
回収された廃油のうち、リサイクルに適したものは、再生処理工場で油水分離や焼却などの工程を経て再利用されます。
再利用後の用途は、大きく分けて以下の2つに分けられます。
廃油を燃焼させて、熱エネルギーとして利用する方法です。主に、再生重油やバイオディーゼル油として利用されます。
廃油を油水分離や遠心分離などの工程で、水分や不純物を除去し、品質規格に準拠して調整したものです。主に、発電やボイラーの燃料として利用されます。
廃食用油をメタノールと触媒を加えてグリセリンを除去して精製したものです。ディーゼル車の燃料として利用されます。
廃油を他の原料として利用する方法です。主に、石鹸や合成樹脂などの原料として利用されます。
廃食用油を加水分解し、脂肪酸ナトリウム塩を精製したものです。洗剤や石鹸の原料として利用されます。
廃油を熱分解させて、原料ガスや原油から製造されるガスから得られる原料ガスを合成して製造します。プラスチックやゴムの原料として利用されます。
廃油のうち、引火点70℃未満の燃焼しやすいものは「特別管理産業廃棄物」として扱う必要があります。具体的には、揮発油類、灯油類、軽油類などが該当します。
特別管理産業廃棄物は、人の健康や生活環境に被害をもたらす可能性がある危険な廃棄物になります。処分する際は、一般的な産業廃棄物より厳しい規制が設けられています。特別管理産業廃棄物を処理できる専門の業者に、依頼しなければなりません。
参照:環境省(https://www.env.go.jp/recycle/waste/sp_contr/)
廃油の処理を委託する際は、慎重に業者を選ぶ必要があります。
以下の3つのポイントに焦点をあてて選ぶようにしましょう。
廃油の処分を業者に委託する際は、都道府県から収集運搬と処分の許可を得ているかを確認しましょう。
業者によって受け入れが可能な廃棄物(品目)は異なります。そのため、廃油処理の許可を得ているかどうかのチェックが必要です。
許可を得ていない業者に委託した場合、依頼した事業者も以下の罰則対象になります。
① 5年以下の懲役
② 1,000万円以下の罰金
③ ①と②の両方
産業廃棄物処理事業振興財団が運営する「さんぱいくん」では、許可の有無や取り扱い可能な品目を確認することができます。ぜひ活用してください。
信頼性の高い処分業者に依頼するには、廃油処理の手順が公開されている業者を選ぶようにしましょう。以下の項目を確認してみてください。
廃油処理の手順は、業者のホームページで確認できます。ホームページで確認できない場合は、問い合わせてみましょう。
是正勧告や行政処分を受けたことのある業者は避けましょう。処分歴がある業者は信頼性に欠けます。過去に違反や過失があった業者は是正勧告を受け、是正勧告に従わない場合は行政処分が下されます。
処理業者の所在地を管轄する行政庁か、都道府県の担当部局に連絡すると、行政処分が下されているかを確認できます。
1. 廃油は一般廃棄物として出せる?
廃油を一般廃棄物として処分することはできません。事業活動によって生じた廃油は、全て産業廃棄物に該当します。
廃棄物処理法で定められた産業廃棄物20品目に含まれています。
2. 廃油が産業廃棄物になる基準は?
事業活動に伴って生じた使用済みの油は、すべて産業廃棄物に該当します。
中でも、引火点が70℃未満の揮発油類、特定の有機塩素化合物、PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含むものについては、「特別管理産業廃棄物」として取り扱われます。
3. 廃油処理箱は燃えるゴミですか?
自治体によっては、廃油処理箱を可燃ごみとして捨てることができるケースもあります。しかし、回収業者によって廃棄方法を指定している場合があるので、事前に確認しましょう。
この記事では、廃油の基礎知識から処分する際に気を付けるべきこと、回収業者を選ぶポイントなどを解説してきました。許可を受けていない業者に委託してしまうと、排出事業者も罰則を課されてしまうので注意が必要です。
廃油を適切に処理するためにも、取り扱いについて正しく理解し、分別、処分を行うようにしましょう。
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