飲食店、食品加工業の事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方を解説します
飲食店で必ず設置されているものとして、グリストラップというものがあります。グリストラップとは、厨房排水に交じった油脂やゴミ(残飯やくずなど)が下水に流出するのを防ぐ設備のことです。
今回は、グリストラップに溜まった汚泥の処理について説明していきます。
グリストラップには、厨房排水から生ごみや油を取り除く役割があります。また、虫や小動物の侵入、悪臭、排水の逆流、排水管のつまりなどを防止する役割も担っています。
グリストラップは「油脂分離阻集器(ゆしぶんりそしゅうき)」とも呼ばれ、3つの槽に分けられています。
第1槽
第1槽では、排水からゴミや残飯、カスなどの固形物をバスケットで取り除きます。
第2槽
第2槽では、油脂や汚泥を水と分離させます。油脂は水面に浮上し、細かいごみは底に沈殿します。
第3槽
さらに油脂を分離し、含有率が少ない状態で下水道へ排水します。
グリストラップの設置は明言されているわけではありませんが、「下水道法」「水質汚濁防止法」「建築基準法」により、事実上設置が必須だと言えます。
「下水道法」では、排水する水の基準が決められており、基準を超過する場合は除害施設や装置の設置が必要とされています。
「水質汚濁防止法」では、排水基準が定められており、基準以下の濃度で排水することが義務づけられています。例えば、一日当たりの平均的な排出水の量が50トン以上の事業所においては、動植物油脂類含有量の数値が1リットルあたり30ミリグラム以下という基準があります。
「建築基準法」では、油脂やガソリンといった有害物質を排水する場合は、阻集器の設置が必要であると定められています。
飲食店では、日々の営業で生ごみや厨房排水がグリストラップに溜まっていきます。グリストラップにごみが蓄積することで、悪臭や害虫発生の原因になるので、定期的な清掃が必要になります。
第1槽のバスケットに溜まった残飯や生ごみなどは、すぐに一杯になるので毎日取り除く必要があります。
第2槽に溜まった油脂や底に沈殿した汚泥は週に1回程度取り除くようにしましょう。油吸着シートを使うと、清掃の手間を省くことができます。
第3層はそれほど汚れるものではないので、トラップ管を数か月に一度清掃する程度で問題ないでしょう。
グリストラップの清掃を怠ると、排水管が詰まることがあります。排水管が詰まると、排水が逆流したり、厨房に溢れてしまうこともあるので、適切な頻度で清掃を行いましょう。
グリストラップのごみは、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2つに分けられます。
第1槽にあるバスケットに溜まる残飯などの生ごみは一般廃棄物として処理が可能です。
第2槽に浮いている油や底に沈殿した汚泥は、産業廃棄物に分類されます。
産業廃棄物を処分する際は、許可を得た業者に委託する必要があります。適切に処理しないと法律違反になるので注意しましょう。
産業廃棄物を適切に処理しなかった場合、「不法投棄」や「委託基準違反」とみなされ、罰則が科せられる可能性があります。
廃油や汚泥を誤って一般廃棄物として処分してしまった場合は不法投棄になります。
無許可の業者に産業廃棄物の処分を委託したり、適切な手続きが行われていない場合は、委託基準違反になります。無許可であることを知らなかったとしても排出事業者は違反に問われます。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、不法投棄や委託基準違反があった場合、「5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金」という罰則が定められています。
知らなかった!産業廃棄物の不法投棄の現状や対策をわかりやすく解説
決して「知らなかった」では済まないので、排出事業者は責任をもって処理や業者の選定を行いましょう。
グリストラップから出る汚泥や廃油などの処分は、専門の回収業者に委託しなければなりません。
回収業者を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。
許可をもっている業者に委託する
グリストラップゴミの回収業者は、産業廃棄物収集運搬業の許可証が必要です。許可を得ていない業者に依頼すると、排出事業者側も罰則が科せられます。
料金
回収や処理にかかる料金は、業者によって異なります。複数の業者から見積もりを取って、検討することをおすすめします。
対応エリア
業者によっては、対応エリアが限定されている場合があります。事前に確認しておきましょう。
1. グリストラップの清掃費用はいくらですか?
グリストラップの清掃費用は、容量によって異なります。容量が100リットル未満の場合は、20,000円程度です。容量が200リットル未満の場合は、20,000〜30,000円程度になります。
地域や業者によって異なるため、清掃業者に問い合わせることをおすすめします。
2. グリストラップの清掃は違法ですか?
グリストラップの清掃は違法ではありません。グリストラップの清掃は、排水管の詰まりや悪臭を予防するために定期的に行う必要があります。
3. グリストラップのゴミはどのように分別しますか?
グリストラップのゴミは、第1槽のバスケットに溜まった生ゴミと、第2槽に溜まった油脂、汚泥の2つに分けて分別します。
バスケットに溜まったゴミは一般廃棄物として処理できますが、油脂や汚泥は産業廃棄物として処理する必要があります。
今回は、グリストラップから出るごみの処分方法について解説しました。グリストラップの清掃は面倒ですが、怠ると悪臭や害虫の発生につながります。定期的に清掃を行い、適切な方法で処分するようにしてください。