飲食店、食品加工業の事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方を解説します
「飲食店のゴミの出し方を調べていたら食品廃棄物と食品ロスがでてきたけど一緒じゃないのかな?」
「食品廃棄物と食品ロスのゴミの出し方は異なるのかな?」
このように、飲食店やスーパーマーケット、食品工場などからでるゴミが食品廃棄物なのか食品ロスなのか、正確に理解できている方は少ないのではないでしょうか。この記事では、食品廃棄物と食品ロスの違いについて詳しく解説していきます。
飲食店やスーパーマーケット、食品製造工場、食品加工工場など食品に関わる企業で問題となるのがゴミです。ゴミといっても一般ゴミなのか食品廃棄物なのかで捨てる手段が異なります。ゴミの種類を正確に理解していないと、罰則を受ける対象になってしまう可能性があります。ゴミを適切な手段で処分するためにも、この記事をチェックしてみてください。
農林水産省の定義によると、食品の食べられない部分を含むのが食品廃棄物です。油や魚の骨、野菜の芯などが該当します。食品を作るさいに出るゴミや食品を販売するさいにでるゴミなど、食品に関わるすべてのゴミが食品廃棄物です。
一方、海外では食品廃棄物の定義が日本と異なります。国際連合食糧農業機関が定めている食品廃棄物は、生産や製造、加工、卸、流通など企業が関わって出た食品のゴミです。日本と海外の食品廃棄物の定義が異なることは覚えておくといいでしょう。
食品ロスは食品の食べられる部分のみです。食品ロスは、食品廃棄物に含まれる油や魚の骨、野菜の芯などは含みません。食品ロスは「事業系食品ロス」と「家庭系食品ロス」に分かれます。事業系食品ロスは、生産や製造、加工、卸・流通、小売・外食で出たゴミです。一方、家庭系食品ロスは、消費者が出したゴミになります。また海外では、小売りや外食、家庭などででるゴミを食品ロスと定義しています。
どの食品廃棄物・食品ロスが一般廃棄物になるのか産業廃棄物になるのかの判断は、以下を参考にしてください。
・食品製造業の出荷前不良品や製造工程で発生した固形状のゴミなど(動植物性残さ) ・事業活動で発生した味噌などの泥状の廃棄物(汚泥) ・事業活動で発生した廃食用油など油状の廃棄物(廃油) ・事業活動で発生した調味料や飲料などの液状の廃棄物(廃酸、廃アルカリ) |
・食品製造業の社員食堂や出荷後の回収品で出た固形状のゴミ(事業系一般廃棄物) ・飲食店やスーパーマーケット、物流などからでた固形状のゴミ(事業系一般廃棄物) |
上記の表のように、製造過程で発生するような食品廃棄物・食品ロスは産業廃棄物、販売店や飲食店で発生するような食品廃棄物・食品ロスは一般廃棄物に分けられているといえます。産業廃棄物と一般廃棄物は処理方法等が異なるので、表を参考にして、適切な処理をするようにしましょう。
食品廃棄物・食品ロスを排出する事業者は、以下の表の食品廃棄物・食品ロスの発生から最終処分まで責任を問われます。
食品廃棄物・食品ロスの発生→運搬→中間処理→運搬→最終処分 |
罰則の対象にならないためには、保管基準を守り信頼・信用できる処理業者に依頼するのがポイントです。処理業者の中には、不適切な処分をする業者も存在するため、実績と評判を考慮して決めるといいでしょう。
食品廃棄物の保管には以下2つの基準が設けられており、必ず守らなければなりません。
・食品廃棄物の中の産業廃棄物に該当するものが飛散や流出、悪臭がしないように措置されているか(蓋つきのゴミ捨て場の設置など) ・保管場所にゴミの種類や数量などを示した掲示板を見やすく分かりやすい場所に設置しているか(大きさ→縦60㎝×横60㎝以上) |
上記の保管基準を守らないと罰則の対象となるので注意が必要です。
食品廃棄物・食品ロスの排出事業者または委託した処理業者が不適切な処理や法令違反をすると、以下の罰則や勧告、命令を下されます。
無許可の処理業者への委託 →5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方
委託契約が法令に反している場合(記入漏れなど) →3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方
不適切なマニフェスト運用(虚偽記載、記載漏れ、保管義務違反など) →1年以下の懲役または100万以下の罰金
悪質な廃棄物処理違反 →社名公表など
処理業者が適切な処理ができない場合 →措置命令が出され排出事業者が廃棄物の回収と処理をする |
不適切な処理や悪質な委託業者を選ぶと上記の罰則対象となるので注意が必要です。
この記事では、食品廃棄物と食品ロスの違いについて詳しく解説してきました。食品廃棄物と食品ロスの違いは、可食部分なのか不可食部分なのかでした。また、日本では排出者の業種や発生段階によって食品廃棄物と食品ロスが一般廃棄物に該当するのか産業廃棄物に該当するのかが異なります。
食品廃棄物と食品ロスの適切な処分をするためにも、処理を委託する業者は慎重に選定するようにしましょう。