東京都大田区の事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方・条例・ルール・罰則を解説します
はじめに、大田区にはどのような業種に属する企業や個人事業主が多いのかを見ておきましょう。
東京23区の南西部に位置する大田区は、東京湾に面していることから海運の便に優れており、昔から製造業が盛んでした。平成28年に実施された統計調査によると、区内には4,229の工場があり、従業員4人以上の事業所で働く人数は21,869人にも上っています。これらの数字はピークだった昭和60年から少しずつ減少傾向にはあるものの、いまだ23区の中では高い水準です。
製造業の中でも特に多いのが、金属製品製造業で、区内南部の京浜急行電鉄の大森海岸駅や糀谷駅の周辺には、多くの工場が立ち並んでいます。また、多摩川沿いの東急電鉄の下丸子駅や多摩川駅の付近には、計器やネジといった精密機械の工場を目にすることができます。
大田区は、工場地帯と優良な住宅地という2つの側面を有しており、区内の多くを準工業地域や第1種低層住居専用地域が占めています。このうち、準工業地域というのは、主に環境を悪化させるおそれがない工場の利便を図る地域であり、多種多様な用途の建物を建てることが可能となっています。
そのため、住宅や店舗、学校、病院に加え、危険性が低い工場や倉庫といった施設が混在しているのが、このエリアの特徴となっています。具体的な準工業地域としては、JR京浜東北線の蒲田駅から南の京浜急行線にかけてのエリアなどが挙げられます。
一方の、第1種低層住居専用地域は、良好な住環境を実現するために、低層の住宅だけが建築を認められているエリアです。ただし、近隣には小中学校や住宅兼用のオフィスや店舗が混在しているケースもあります。区内の代表的な第1種低層住居専用地域は、東急東横線沿線の田園調布駅や東急池上線沿線の雪が谷大塚駅、久我原駅の周辺エリアなどです。
大田区は、東京都内でも有数の工業エリアであり、区内には工業専用地域が設けられています。この工業専用地域というのは、もっぱら工業の利便性を図るために設けられたエリアであり、中小規模の施設から大規模な施設に至るまで、あらゆる工業用地として活用される可能性がある一方で、それ以外の目的で設けられる建設物は基本的にないという特徴があります。
次に、大田区で事業ごみを出す場合の方法について、紹介します。
事業者は、自らの事業活動によって生じた廃棄物を、自己の責任で適正に処理する必要があります。そのため、大田区の事業者は、許可を受けた廃棄物収集運搬許可業者にごみの収集を依頼することによって、ごみを処理するというのが原則です。
ただし、大田区では、1回に出す事ごみの量が50キログラム未満の場合には、45リットル袋で5袋までであれば、区の収集に有料で排出することが認められています。料金は、ごみの種類や排出量に応じて変わってきますので、事前に調べて必要な金額の事業系有料ごみ処理券を購入してごみ袋に貼っておかなければなりません。
後は、可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみに分類し、所定の収集日に出しておけばよいのです。なお、事業系の粗大ごみは区では収集していないので、廃棄物収集運搬許可業者に委託して処理する必要があります。
一方、家庭ごみの場合には、ごみ処理券は必要ありません。可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみに分別したうえで、決められているごみの収集日にごみステーションなどに出しておけば、作業員がやって来て回収して行ってくれるため、特に面倒な手続き等は必要ありません。
マニフェスト(manifesto)は、個人や団体が方針や意図を公に発信するための文書や演説のことを言い、産業廃棄物のマニフェストは、排出事業者が産業廃棄物の処理を産廃業者に委託するにあたり、委託契約内容に基づき適正に処理されていることを確認するために必要な事項を記載し交付される伝票のことを指しています。
排出事業者とはごみを出す法人のことを言い、東京23区については日量100キログラム以上排出する事業者もしくは臨時で排出する事業者は事業系一般廃棄物についてもマニフェストの作成が義務付けられています。
ここでは、大田区で産業廃棄物を処理する場合の料金相場を知るために、代表的な5つの廃棄物収集運搬許可業者に、45リットル袋1袋分の燃えるごみの処理を委託する場合に必要となる料金を取り上げて見ていきます。
ごみ.Tokyo | 約343円 |
A社 | 1,200円 |
B社 | 1,300円 |
C社 | 1,250円 |
D社 | 1,400円 |
E社 | 1,350円 |
大田区では、SDGsの達成に向けて、食品ロスの削減に向けた取り組みを進めています。具体的には、冷蔵庫の上手な活用術や食品ロス削減に関する動画を作成したり、食品ロスを削減するために個々人が行うことができる工夫をまとめてホームページで公開したりしています。
また、家庭で余っているまだ食べられる食品を持ち寄って、地域の福祉団体や福祉施設等に寄付するフードドライブという活動や、事業者から出る食品ロスの内、まだ食べられるにもかかわらず活用方法がなく捨てられている食品を区内で有効に活用していく地産地消型未利用食品マッチング事業なども推進しており、区を挙げて食品ロスを減らそうとしているのです。
SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を省略した言葉で、2015年9月の国連サミットで国連加盟193か国が、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標を指しています。
SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に対する取り組みとして、日本でも産業廃棄物の排出に伴う適切な処理についてルールが整備されています。「つくる責任、つかう責任」にはターゲットと呼ばれる、11の更に具体的な目標が掲げられており、そこには具体的に以下のような内容が示されています。
11のターゲットの例:
・2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
・2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。