オフィス・事務所・事業所・出張所などの事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方を解説します
オフィスから出るごみは、量も種類も多いものです。
ごみを正しく分別できるかどうかは、企業の価値を左右するともいわれます。
そのため、各企業は、事業ごみの分別方法を理解しておくことが大切です。
さらに、従業員一人一人に分別の意味ややり方を知ってもらうには、企業側の努力が求められます。
こちらでは、ごみの分別の大切さや事業ごみの分別方法とともに、分別を実施するのに役立つアイディアをご紹介します。
利益追求を第一にする企業は敬遠され、CSR、つまり社会的責任を意識した行動を求められています。
それはごみの扱いも同様です。
ごみの出し方一つで企業の姿勢が問われる時代なので、ごみの削減とともに、ごみを資源として活用する方法を模索したり、リサイクルの仕組みの構築が必要です。
従業員一人一人がごみの分別を理解し、真剣に取り組めるよう、企業側の工夫が求められます。
日本では、以前からごみの削減に取り組んでいました。
それでも、年間で東京ドーム約100杯分を超えるごみが排出されている現状や、埋立地の不足、地球温暖化などの影響を考慮すると、ごみ全体の3分の1を占めると言われる事業ごみの削減やリサイクルは、ますます推進していくことが大切です。
こちらでは、オフィスから出る主なごみを種類別に取り上げ、どのように分別する必要があるかを考えます。
オフィスで出る可燃ごみ
オフィスで燃えるごみとして出されるものの代表格が、書類やパンフレット、コピー用紙などでしょう。また、弁当などの食べ残しや、ティッシュペーパー、包装紙なども、可燃ごみとしてよく出されます。
燃えるごみは、事業所がある地域により出し方が異なりますが、事業系ごみの許可を持つ廃棄物処理業者に回収を依頼したり、自ら自治体の処分施設に持ち込んだりします。
東京23区などでは、有料のごみ処理券などを貼って、家庭ごみと同様の集積場所に、指定の日時に捨てることもできるようです。いずれの場合も、ごみ袋の指定があったり、大きさが決められていることが多いため、分別の段階で、指定のごみ袋に入れるようにすると、ごみ出しの手間が省けます。
可燃ごみで気を付けたいのが、個人情報などが記載された書類やコピー用紙です。シュレッダーなどで裁断していないものは、機密書類として専門の回収業者に委託して、セキュリティを確保します。
個人情報が書かれた書類を専門の回収業者に委託すると、焼却処理ではなく、水と撹拌して溶解処理をするため、二酸化炭素排出量の削減に貢献できます。
また、溶解処理の場合は、書類のクリップやホチキスなどを外さずに済むケースも多いため、手間がかからないのが利点です。
オフィスから出る不燃ごみ
不燃ごみとなるのは、プラスチックでできた弁当容器やカップ麺の容器、ビニール袋などです。
これらは、産業廃棄物として扱われるので、産廃許可を持つ廃棄物処理業者に委託します。
オフィスからよく出されるもので、燃えないごみに分類されるのが、パソコンやプリンター、スマートフォンなどの事務機器類や、電池や蛍光灯、オフィス家具などです。これらも廃棄物処理業者に委託しますが、それぞれの品目に対応する許可を持つ業者に委託する必要があります。
許可を持つ廃棄物処理業者に委託すると、再利用できるものはリサイクルに回し、使えないものは焼却されたり、埋め立てるなどの適正な処理がされます。
オフィスから出る資源ごみ
オフィスから出る新聞や雑誌などの古紙類や段ボールは、資源ごみとして分別し、廃棄物処理業者や、古紙リサイクルの専門業者に委託します。
また、地域によっては、有料のごみ処理券などをそれぞれのごみに貼ることで、ごみ集積所に出せる場合があるので、自治体に確認するとよいかもしれません。電池や蛍光灯などは、資源ごみとして出せる自治体もあります。
缶・びん・ペットボトルやプラスチック製の容器などは、産業廃棄物処理業者のほか、地域によって各地区の一般ごみと一緒に収集してもらえるケースがあるようです。
そのような場合、事業系のごみは有料となり、中身が見えるような袋に入れるよう指定されることも多いため、求められている要件を満たすようにします。
事業所内に飲料の自動販売機を置くと、飲料販売事業者がペットボトルやふたのリサイクルのため、空容器回収ボックスなどを設置する場合があるので、活用するとよいでしょう。
従業員が住んでいる地域などにより、ごみの分別方法は異なります。
また、家庭用ごみと事業ごみでは分別の種類や分け方が異なることがあるため、一人一人にわかってもらうには、わかりやすく丁寧な説明が必要です。
加えて、分別のしやすさも大切です。
こちらでは、オフィスでの事業ごみの分別を理解してもらうためのアイディアをご紹介します。
オフィスでは、ごみステーションのようなスペースを設け、一か所でいろいろなごみを捨てられるようにしておきます。
ごみ箱が分散していると、移動する手間が発生し、分別が進まない可能性があるからです。
複数のごみ箱を置く場合、それぞれのごみ箱に捨てるべきごみの写真やイラストを貼るのもよいアイディアです。
どんなに丁寧に説明しても、言葉の意味が伝わらなかったり、ニュアンスの取り方がこちらの意向と異なる場合があります。その点、写真やイラストでごみの種類がはっきりわかるように表示されていると一目で理解できるので、正確に分別する助けになります。
写真やイラストを施しても分別間違いが起こるごみは、ごみ箱に現物を貼るとよいかもしれません。
間違えて入れてしまいがちなごみ箱に現物を貼り、どこに捨てるべきかを記載すると、間違いが少なくなります。間違えそうなものほど、目立つ形で現物を貼るのがポイントです。
ごみの分別が細かいと、回収されるまでにかさんで美観を損ねる可能性があるため、コンパクトにすることも心がけます。
事業規模にもよりますが、薄型のごみ箱を用意したり、壁の梁などのくぼみに合うサイズのごみ箱を採用できるかもしれません。
指定のごみ箱に確実にごみを捨ててもらうよう、ごみの捨てやすさも考慮します。
例えば、洗面所などで発生するペーパー類のごみは、フックにかけるなどしてごみ箱の位置を高くするとよいかもしれません。また、ごみ箱には専用のごみ袋を何枚か重ねてかけておき、いっぱいになって外した後も、すぐにごみが捨てられるようにしておきます。
オフィスではホチキスの針が多く出ます。ホチキスの針は、金属として分別する自治体もあるため、各デスクにマグネットを用意して、ホチキスの針が出るたびにくっつけておき、たまったらホチキス専用のごみ箱に捨てるようにすると、分別が楽に行えます。
オフィスでは、主に可燃ごみ・不燃ごみ・資源ごみが発生しますが、セキュリティに加え、リサイクルなどを意識して分別し、適切な方法で捨てることが大切です。
ごみの分別は、単に従業員一人一人に任せてしまうと、住んでいる地域特性や考え方の違いで、うまくいかない場合があります。
分別のしやすさや捨てやすさを、企業側で工夫することが必要です。