オフィス・事務所・事業所・出張所などの事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方を解説します
法人がパソコンを廃棄する場合、厳格なルールが存在します。会社で使用されたパソコンは産業廃棄物と見なされ、適切な処理が求められます。
この記事では、法人がパソコンを廃棄する際の3つのルールと、それに伴う手続きについて詳しく解説します。
会社で使用したコンピュータを廃棄する場合は、主に3つのルールがあります。
会社のパソコンは事業系パソコンとも呼ばれ、廃棄する場合は産業廃棄物とみなされます。
一般家庭で使用されているパソコンとは処分の仕方や処理方法が異なるため、注意が必要です。家庭で使用されているパソコンを処分する場合、自治体に回収や引き取りを依頼できることがありますが、事業系パソコンは自治体が回収することはできません。
事業系パソコンを廃棄する場合は、産業廃棄物処理業者、メーカー、パソコンリサイクル業者などに依頼する必要があります。
資源有効利用促進法に基づき、事業系パソコンはメーカーが責任を持って回収・リサイクルすることが義務付けられています。
資源有効利用促進法は、リデュース、リユース、リサイクルの3Rを総合的に推進する法律です。10分野69品目について、3Rへの取り組みや配慮、事業者による自主回収、リサイクルシステムの構築などが定められています。
適切に処分しないと違法になり、罰金が科せられる場合がありますのでご注意ください。
事業系パソコンを廃棄する場合、排出事業者は産業廃棄物処理票(マニフェスト)制度に従って手続きを行う必要があります。
マニフェストは、産業廃棄物処理の委託に必要な書類です。廃棄物が正しく処分されているかどうかを確認するために使用されます。処理の委託先がマニフェストを発行し、排出事業者はその写しを適切な形式で保管しなければなりません。
会社で使う事業系パソコンを買い替えるとなれば、古いパソコンは処分することになるでしょう。
処分方法は主に「メーカーに回収を依頼する」「業廃棄物処理業者に依頼する」「リサイクル業者に依頼する」の3つになります。これら3つの処分方法の特徴を詳しく見ていきましょう。
家庭用パソコンも事業系パソコンもPCリサイクル法でメーカーが責任を持って回収、リサイクルをするよう定められています。
メーカーであれば、不法投棄などされる心配がないので最も安全な処分方法と言えるでしょう。同じメーカーのパソコンで揃えているときには、まとめて依頼できるので手続きが簡単です。
メーカーが倒産したなどの理由で回収を依頼できない場合は、一般社団法人パソコン3R協会に回収を依頼できます。
なお、事業系パソコンは家庭用パソコンとは違い、PCリサイクルマークが貼付されていても回収時に料金の支払いが必要です。料金の計算は1台ごとに発生し、メーカーによって別途手数料を支払うことになります。パソコンの台数が多いと処理費用が多くかかってしまうでしょう。
メーカーに回収を依頼する際は、まず手続きや処理費用について問い合わせをしましょう。メーカーからの見積もりを確認したうえで処理委託契約を結ぶと良いでしょう。
契約後、輸送伝票が送られてくるので、古いパソコンを梱包して配送業者に集荷を依頼します。回収されたパソコンは、メーカーからリサイクル施設に送られます。原料の金属やプラスチックなどは、資源として再利用されます。
処分後に発行される廃棄証明書や資産滅却報告書はきちんと保管するようにしましょう。
産業廃棄物処理業者は、メーカーや製造年に関わらず事業系パソコンをまとめて産業廃棄物として回収します。
パソコン以外の粗大ごみも産業廃棄物として回収を依頼できるので、処分にかかる手間を大幅に減らせる点が魅力です。
産業廃棄物処理業者に依頼するときには、必ず産業廃棄物処理業の許可を得ている業者かどうか確認しましょう。許可のない業者にパソコンの処分を依頼した場合、不法投棄やデータの悪用が懸念されます。信頼できる業者かどうかを、慎重に見極めなければいけません。
業者を選ぶときは、まず許可の有無や料金などを調べて信頼できる業者を絞り込みましょう。
見積もりを確認したら、産業廃棄物処理委託契約書に署名をします。委託契約をする際には、排出事業者がマニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行することになっています。マニフェストとは、排出する産業廃棄物の品目や量などを記載した書類です。
処分が完了すると廃棄証明書を発行してもらえますが、一般的に別途料金が必要となります。
リサイクル業者は、無料で回収、買取を行っていることが多いので処理費用を大幅に削減できるでしょう。リサイクル業者に依頼する場合も、産業廃棄物処理業者に依頼するときと同様に処理委託契約を結びます。
リサイクル業者は、古いパソコンを修理したり、分解して取り出したパーツを販売したりします。
家庭用パソコンと事業系パソコンの違いは、事業系パソコンが産業廃棄物として扱われることです。
家庭用パソコンは、自治体、メーカー、一般社団法人パソコン3R協会などに回収を依頼できます。処分の際に契約手続きは発生しません。
一方で事業系パソコンは、産業廃棄物という扱いになるため、契約をしたうえで産業廃棄物処理業やメーカー、リサイクル業者に処分を依頼する必要があります。無許可の業者に依頼するなどした場合は、排出した事業者にペナルティが科せられます。
事業系パソコンの処分をメーカーに依頼する場合は、3,000~4,000円が相場です。
本体とディスプレイが別になっているデスクトップパソコンは、ディスプレイと本体でそれぞれ支払うことになるので注意しましょう。
産業廃棄物処理業者に依頼すると、パソコン1台あたり1,000~4,000円とメーカーよりも安価で処分できます。データの完全消去を頼む場合には、別途料金が必要です。
リサイクル業者の中には、無料引き取りや買い取りを行っている業者があるので、その場合は料金を支払う必要はありません。
会社のパソコンを廃棄する場合は、必ずデータを削除してください。会社のパソコンには、機密情報が保存されています。データを削除せずに破棄すると、悪意のある第三者の手に渡った場合に悪用される危険があります。
企業の内部データが漏洩して悪用された場合、損害賠償を請求されるリスクがあります。企業としての信頼を失うことにもつながるため、データの削除は必須です。初期化をするか、データ消去ソフトを利用しましょう。
会社のパソコンにシールを貼って管理しているケースがあります。廃棄の際はシールを剥がしてください。会社名や名前など、特定できる情報が書かれたシールが貼られていないか確認しましょう。
パソコンの処分ををリサイクル業者や産業廃棄物処理業者に依頼する際は、しっかり比較して、安心して委託できるか検討しましょう。
たとえば、料金が異常に安い業者や、物理的な拠点を持たない会社には注意してください。悪質な業者に依頼すると、情報漏洩のリスクが高まります。業者によって不法投棄がされた場合、排出事業者が責任を問われる可能性があるので注意してください。
パソコンをそのまま家庭ごみとして処分すると法令違反になります。使用済みのパソコンは、資源有効利用促進法でリサイクルが義務付けられています。処分するときは、メーカーや自治体に回収を依頼してください。
何年も使っていないパソコンでも、メーカー、自治体、廃棄業者などに回収を依頼できます。処分前にデータ消去を忘れずに行いましょう。
事業系パソコンの廃棄する際は、慎重な対応が必要です。セキュリティや法令遵守に留意し、メーカーや産業廃棄物処理業者、リサイクル業者に処分を依頼するようにしましょう。正確な手続きを踏むことで、環境への影響を最小限にし、同時に法的リスクを回避できます。