東京都練馬区の事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方・条例・ルール・罰則を解説します
はじめに練馬区における産業について見ておきましょう。練馬区では、卸売・小売業やサービス業が盛んで、全事業所数に占める割合は、平成18年時点で、それぞれ25.6パーセントと16.9パーセントとなっています。
従業者数に占める割合も、それぞれ23.5パーセントと12.1パーセントとなっていることを見ても、これらの2つの業種が区の産業の中心であることが分かるでしょう。
練馬区は、商業だけでなく農業も盛んに行われており、特にキャベツ、柿、ブドウについては東京都の生産自治体上位3市区に入ります。ただし、高齢化に伴って、農業従事者は減少傾向にあり、平成26年時点では、農家戸数は465戸、農業従事者数は968人となっています。
練馬区には住宅地の中に数多くの農地が点在しており、例えば、西武池袋線の大泉学園駅や石神井公園駅の周辺を歩くと数多くの農地を目にすることができるでしょう。
練馬区は、都心部に通勤や通学する人々のベッドタウンとして開発されてきた歴史を有しており、区内には優良な住宅エリアがいくつも存在しています。そのため、練馬区では、低層住宅の良好な居住環境に特化したエリアである第1種低層住居専用地域が高い比率を占めています。
当該地域は、主に住宅や低層のマンションなどで構成されますが、それ以外に近隣に小中学校が設けられたり、住居兼用の規模の小さいオフィスや店舗などが混在するケースも少なくありません。
代表的な第1種低層住居専用地域としては、練馬駅や大泉学園駅、石神井公園駅の周辺エリアなどを挙げることができます。これらのエリアは、いずれも駅前に比較的規模の大きい商店街などが存在しており、飲食業等のサービス業が盛んに行われているため、排出される事業ごみは燃えるごみが中心となっています。
練馬区は、区内に田園住居地域というエリアを設けています。この地域は、田園や農業と市街地との調和を図るために2018年に新たに設けられたもので、住宅のほかに、農地や米・野菜等の直売所を設置することが可能です。そのため、一般的な住宅地に比べると、自然が多い緑豊かなエリアであると言えるでしょう。
続いて、練馬区で事業ごみを処理する際の方法について紹介します。
企業や個人事業主が行う事業活動によって生じた事業ごみは、一般廃棄物と産業廃棄物に分類した上で、それぞれ所定の方法で処理しなければなりません。原則として、処理責任はごみを排出した事業者が負うことになりますので、違反しないように分別方法や処理方法を正しく理解しておくようにしましょう。事業ごみのうち産業廃棄物については、事業者が自ら産業廃棄物処理施設に持ち込んだり、許可を受けた産業廃棄物処理業者に委託して処理することが可能です。
これに対し、一般廃棄物は、一般廃棄物処理施設への持ち込みや許可を受けた一般廃棄物収集運搬業者への委託に加えて、1回の排出量が30キログラム未満の事業所については、例外的に有料で区のごみに出すことが可能です。区のごみに出す場合には、家庭ごみと同じように分別したうえで、容量に応じた有料ごみ処理券を貼付しておく必要があります。
一方、家庭ごみの場合は、事業ごみと違って有料ごみ処理券を貼る必要はありません。可燃ごみ、不燃ごみ、プラスチック、ビン、缶、ペットボトル、古紙などに分類したうえで、それぞれ所定の日にごみステーションなどの決められた場所に出しておけば、作業員がやって来て収集してもらえます。
マニフェスト(manifesto)は、個人や団体が方針や意図を公に発信するための文書や演説のことを言い、産業廃棄物のマニフェストは、排出事業者が産業廃棄物の処理を産廃業者に委託するにあたり、委託契約内容に基づき適正に処理されていることを確認するために必要な事項を記載し交付される伝票のことを指しています。
排出事業者とはごみを出す法人のことを言い、東京23区については日量平均100キログラム以上排出する事業者もしくは臨時に排出する事業者は事業系一般廃棄物についてもマニフェストの作成が義務付けられています。
練馬区で事業ごみを処理する場合の料金水準を知るために、ここでは同区で事業展開を行っている5社を取り上げて、それぞれの料金を見ていきます。なお、以下で紹介するのは、各社に対して、45リットルのごみ袋1袋分の可燃ごみの処理を委託した場合の料金です。
ごみ.Tokyo | 約343円 |
A社 | 1,250円 |
B社 | 1,400円 |
C社 | 1,300円 |
D社 | 1,500円 |
E社 | 1,200円 |
練馬区では、国連が提唱するSDGsの達成に向けて、廃棄物削減のための各種取り組みを行っています。特に、力を入れているのが食品ロスの削減で、そのためにおいしく完食協力店事業やフードドライブ事業などを実施しています。
このうち、おいしく完食協力店事業というのは、食品ロスの削減に向けて取り組んでいる区内の飲食店を協力店として登録し、当該取り組みを周知することで、飲食店から排出される食べ残し等によるごみの削減を目指すというものです。また、フードドライブ事業は、家庭で余っている未利用の食品を持ち寄って、必要としている団体等に寄付するものとなっています。
SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を省略した言葉で、2015年9月の国連サミットで国連加盟193か国が、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標を指しています。
SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に対する取り組みとして、日本でも産業廃棄物の排出に伴う適切な処理についてルールが整備されています。「つくる責任、つかう責任」にはターゲットと呼ばれる、11の更に具体的な目標が掲げられており、そこには具体的に以下のような内容が示されています。
11のターゲットの例:
・2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
・2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。