東京都中野区の事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方・条例・ルール・罰則を解説します
はじめに、中野区で事業を営んでいる企業や個人事業主がどういった業種に属しているのかを見ておきます。
中野区には、日本有数の大企業から中小企業に至るまで、数多くの企業が本社や営業所などを置いています。また、それに加えて、個人で事業を営んでいる人もかなりの数に上ります。それらの企業や個人事業主が属する業種には様々なものがありますが、その中でも多くの割合を占めているのが飲食店です。
具体的には、平成26年時点で1,782の事業所が区内に設けられており、そこで働く従業員の人数は10,942人にも上ります。この数字は、5年前の平成21年と比べてもそれほど大きく変わってはいません。
特に多くの飲食店が集中しているのが、東京メトロ東西線のターミナル駅であり、JR中央線や総武線の停車駅でもある中野駅の周辺です。また、JR線の東中野駅や、西武新宿線の野方駅や布袋駅の周辺にもそこそこ規模の大きい商店街が広がっており、それらのエリアにもそれなりの数の飲食店が存在しています。
住宅地としての中野区の特徴は、第1種低層住居専用地域と第1種中高層住居専用地域が占める比率が高いという点にあります。
ここで、第1種低層住居専用地域というのは、低層の住宅のみ建築することが可能なエリアで、高層建築物が建てられないため、良好な居住環境が維持されています。ただし、住宅だけでなく、近隣には小中学校や、住宅兼用の小規模な店舗やオフィスなどが混在している場所も少なくありません。
この第1種低層住居専用地域は、野方駅や沼袋駅など、西武新宿線の沿線の駅の周辺エリアを中心に設けられています。住宅が多いエリアだけに、排出されるごみも可燃ごみが中心であると考えてよいでしょう。
一方の、第1種中高層住居専用地域には、第1種低層住居専用地域と違って、中高層住宅を建てることも可能ですが、住宅街に特化しているため、居住環境は良好です。近隣には大学や病院などが設けられており、それ以外にも店舗やオフィスなどを建築することも可能です。それらの建設物は、500平方メートル以下である必要があります。
中野サンプラザなどがあるJR中野駅の周辺エリアが代表的な第1種中高層住居専用地域となっており、それらのエリアは飲食店も多いため、可燃ごみだけでなく資源ごみも多く排出されます。
中野区には、住環境に配慮して大規模な公園がいくつも設けられています。代表的な公園には中野駅の北側の中野四季の森公園や平和の森公園がありますが、それ以外にも商店街で有名な江古田駅から歩いていける江古田公園も知る人ぞ知る公園です。
日本有数のオフィスエリアである新宿がすぐ東にあるにもかかわらず、このように豊かな緑がたくさんあるというのが中野区の魅力であると言えるでしょう。
続いて、中野区における事業ごみの出し方について紹介します。
事業ごみについては、法律で、事業者が自らの責任で適正に処理することが義務付けられています。そのため、事業者は、自ら処理施設に搬入するか、許可を受けた処理業者に依頼してごみを処分する必要があります。ただし、例外的に、常時使用する従業員数が20人以下か、1日のごみ排出量の平均が50キログラム未満の事業所の場合は、区の収集を利用することが可能です。
利用に際しては、事前に区長宛てに届出を行ったうえで、ごみを出す際に所定の有料ごみ券を添付しなければなりません。届出を行ったら、通常の家庭ごみと同じように可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみなどに分別した上で、所定の収集日にごみステーションなどに出せば回収してもらえます。
一方、家庭ごみの場合には、事業ごみのように届出を行う必要はありませんし、収集してもらうための料金も不要です。決められた曜日に、可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみ(段ボール、ビン、缶、ペットボトル等)などに分別して出しておけば、作業員がやって来て持って行ってくれるのです。
マニフェスト(manifesto)は、個人や団体が方針や意図を公に発信するための文書や演説のことを言い、産業廃棄物のマニフェストは、排出事業者が産業廃棄物の処理を産廃業者に委託するにあたり、委託契約内容に基づき適正に処理されていることを確認するために必要な事項を記載し交付される伝票のことを指しています。
排出事業者とはごみを出す法人のことを言い、東京23区については日量100キログラム以上排出する事業者もしくは臨時で排出する事業者は事業系一般廃棄物についてもマニフェストの作成が義務付けられています。
中野区には、事業者から出される産業廃棄物の処分を請け負って行っている産廃業者が複数あります。ここでは、それらの中から、代表的な5社を取り上げて、45リットル袋で燃えるごみを1袋出した場合の料金を見ていきます。
ごみ.Tokyo | 約343円 |
A社 | 1,500円 |
B社 | 1,400円 |
C社 | 1,600円 |
D社 | 1,500円 |
E社 | 1,250円 |
中野区では、SDGsの達成を目指して、「ごみゼロ都市・なかの」というキャッチフレーズを掲げ、区内で排出されるごみの量を削減する様々な取り組みを進めています。
平成28年に策定された第3次中野区一般廃棄物処理基本計画では、「入り口からのごみ発生抑制、再使用の意識醸成」、「資源回収のさらなる推進」、「事業系ごみの減量と適正排出」、「環境に配慮した効率的な収集・運搬・処理」という4つの基本方針を設け、リデュースやリユース、リサイクルの促進に努めているのです。
具体的な取り組みとしては、区内のリサイクル展示室でリユース品の展示、提供等を行ったり、定期的にフリーマーケットを開催したりしています。
SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を省略した言葉で、2015年9月の国連サミットで国連加盟193か国が、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標を指しています。
SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に対する取り組みとして、日本でも産業廃棄物の排出に伴う適切な処理についてルールが整備されています。「つくる責任、つかう責任」にはターゲットと呼ばれる、11の更に具体的な目標が掲げられており、そこには具体的に以下のような内容が示されています。
11のターゲットの例:
・2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
・2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。