東京都目黒区の事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方・条例・ルール・罰則を解説します
経済産業省の「平成26年経済センサスー活動調査」、「平成26年商業統計調査」によると、目黒区内の事業者数は平成26年時点で12,211社あります。事業者でもっとも多い業種は、卸売業、小売業の3,120社で、飲食サービス、宿泊業が1,879社、不動産、物品賃貸業が1,429社と続きました。目黒区では、卸売業と小売業が全体の25.6%を占めており、比率が高いことがわかります。
卸売業と小売業の内訳は、その他の小売業が899社、飲食品小売業が597社、衣料品小売業が582社でした。事業所の規模は1人〜4人が全体の57.1%以上を占めており、10人未満の事業場は21.3%と全体の78.4%以上が小規模事業者です。
卸売業、小売業の事業所は、自由が丘、上目黒、鷹番、下目黒に多い特徴がありました。自由が丘は自由が丘商店街があり、目黒区の商店街の売上の38.9%を占めるエリアで、都内有数の商業地区です。
上目黒は中目黒駅を中心に広がる若者に人気のエリアで、アパレルショップなどの小売業が増加しています。鷹番は、学芸大学駅周辺で小売店が多く立地しているエリアです。下目黒はJR目黒駅周辺で、利便性からオフィス街が広がっているのと同時に小売店の出店が増えています。
目黒区には第1種低層住宅専用地域に指定された地域が多く存在しています。第1種低層住宅専用地域とは、良好な住環境を維持するために、10mや12mの高さ制限や外壁の高さ制限などが都市計画で定められているのです。
目黒区の代表的な第1種低層住居専用地域は、自由が丘の駅周辺以外の自由が丘地区や都立大学北側に広がる八雲地区、目黒川の北側に位置する青葉台地区などがあります。約0.5448 km²に広がる自由が丘の駅周辺は多くの商業ビルや施設が存在しますが、少し歩くと一軒家を中心とした住宅街が広がっています。
約0.9482 km²の八雲地区は駒沢公園や小中学校、住宅が広がる落ち着いた静かなエリアで、家庭ごみの排出が多いでしょう。約0.5067 km²の青葉台地区は、目黒川をはじめ、たくさんの緑が広がります。駅周辺は賑やかですが、セレクトショップをはじめとした小規模事業所が多く存在し、事業者ごみの排出が多いです。
碑文谷地区は都立大学駅と学芸大学の中間に位置する高級住宅街です。一人暮らしからファミリー世帯までに人気のエリアで、イオンスタイル碑文谷店に代表される商業施設や大きな池がある碑文谷公園など、利便性が高く静かで治安がいいため、小規模事業者にも人気があります。
目黒区で出せる家庭ごみは、大きく分けて可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみ、粗大ごみです。カップ麺部分のプラスチックは資源ごみ、紙部分は可燃ごみなどごみになる物の品目によって細かく定められています。ごみを捨てる時にはどの種類に該当するのかを区発行の「資源・ごみの分別品目一覧表」から判断し、指定された指定日に出すのが一般的な流れです。マンションなどの集合住宅に住んでいる場合は、ごみを分別した上で、マンションの敷地内にある指定場所に出します。
一方事業ごみは、目黒区専用のごみ処理券をコンビニエンスストアなどで購入してごみ袋に貼り、ごみ収集場に出せます。この方法は少量のごみを排出する事業者に限られ、大量の事業系ごみを排出する事業者は民間の業者に委託しなければなりません。ごみ処理券は、可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみに対応しています。
マニフェスト(manifesto)は、個人や団体が方針や意図を公に発信するための文書や演説のことを言い、産業廃棄物のマニフェストは、排出事業者が産業廃棄物の処理を産廃業者に委託するにあたり、委託契約内容に基づき適正に処理されていることを確認するために必要な事項を記載し交付される伝票のことを指しています。
排出事業者とはごみを出す法人のことを言い、東京23区については日量100キログラム以上排出するもしくは臨時で排出する事業者は事業系一般廃棄物についてもマニフェストの作成が義務付けられています。
目黒区で、普通ごみなどの一般廃棄物を事業者が排出するには、許可された産業廃棄物処理業者に委託するのが一般的です。目黒区の産業廃棄物処理を対応するA社は、一般可燃ごみで1キロ65円という値段でした。
事業系一般廃棄物から再生資源リサイクル事業を行うB社は、一般可燃ごみで1キロ33円という金額でサービスを提供しています。
C社は23区のショッピングセンターなどの一般廃棄物を回収しており、処理費用は1キロ15.5円です。
法人の廃棄物の持ち込みにも対応しているD社は、1キロ35〜50円で処分を引き受けています。機密書類の処理なども行うE社は、1キロあたり30円の処分費用です。
目黒区で事業ごみの排出を委託できる業者の相場は、1キロあたり15円〜65円まで幅がありますが相場は30円ほどです。
産業廃棄物(燃えるごみ)1キロあたりの料金
ごみ.Tokyo | 約40円 |
A社 | 65円 |
B社 | 33円 |
C社 | 15.5円 |
D社 | 35〜50円 |
E社 | 15円〜65円 |
「MGR100」というごみの排出量を削減する取り組みを始め、1人あたり100gのごみ削減を目標にしています。また、リユースやリサイクル、リデュースの3Rへの取り組みも進め、取り組みのために努力を行う事業者を顕彰しているのも特徴です。
家庭ごみだけでなく、事業者へもごみの適正な排出方法を明確に示し、区全体でごみの排出量を削減するための努力を続けています。
SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を省略した言葉で、2015年9月の国連サミットで国連加盟193か国が、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標を指しています。
SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に対する取り組みとして、日本でも産業廃棄物の排出に伴う適切な処理についてルールが整備されています。「つくる責任、つかう責任」にはターゲットと呼ばれる、11の更に具体的な目標が掲げられており、そこには具体的に以下のような内容が示されています。
11のターゲットの例:
・2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
・2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。