東京都江東区の事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方・条例・ルール・罰則を解説します
江東区の公式ホームページには、平成26年の事業所に関する調査データが掲載されています。これによると、江東区における事業所の総数は約1万9千。良好な住宅地が広がる上に事業所数も多く、生活とビジネスの両方に魅力が感じられるエリアと言えます。
江東区で特に目立つのが運輸業で、他には製造業も盛んです。中でも臨海副都心に指定された地域では、国際的な物流拠点が整備されたり、大規模な商業施設が集積したりと、著しい成長がみられます。
木材・木製品製造業が発達しているのが江東区の特徴です。その歴史は古く、江戸時代から木材の街として発展を続けてきた経歴があります。
近代になっても木材の流通拠点としての役割は変わらず、高度経済成長期には新たな貯木場として、「新木場」が誕生しました。このエリアは現在は鉄道網が発達し、運輸の要衝として知られています。また、以前の貯木場だった「木場」も、当時の名残を感じられるのが特徴。「木場駅」周辺には多数の木材店が集まり、今でも地域の産業を支えています。
製造業が盛んなこともあり、江東区の土地は、そのほとんどが準工業地域や工業専用地域に指定されているのが特徴。中でも、群を抜いて目立つのが、準工業地域です。準工業地域は生活環境への影響が少ない、軽工業を主体とするエリア。小さな作業場や危険性の低い工場が中心で、住宅や商業施設も同居できるのが特徴です。
具体的には青梅や有明の一部などを中心に区内の大部分が含まれています。また、工業専用地域は工場の設置に適したエリアです。特に大規模な工場を集め、工業的な発展を加速させるために指定されます。区内における工業専用地域は、有明の東京ビッグサイト周辺や若洲など、臨海地区が中心です。
江東区では木材関係の産業が発達しているため、排出されるゴミは木くずが多いと考えられます。事業によって排出される木くずは産業廃棄物にあたるので、法律や区のルールに基づき、適切に処理することが重要です。
埋立地が多い江東区の中でも、「夢の島」は独自性が高いエリアと言えるでしょう。昭和13年に飛行場として誕生した埋立地で、後の高度経済成長期に急増した、東京のごみを集積して今の形となりました。
現在は緑豊かな人工島となっており、夢の島公園をはじめとする区民の憩いの場や、2021年の東京オリンピックで使われた競技場などがあります。
江東区では、家庭ゴミは一部を除いて、ゴミステーションに出すのが基本のルールです。廃棄する品物は資源とゴミにわけ、後者は更に可燃か不燃かによって分別します。分別した後は、区によって指定された場所に出しておくと、回収してくれる仕組みです。
事業ゴミの方は基本的に、この回収サービスは使えません。例外として、1日のゴミ排出量が平均して50kg以下などの条件を満たせば、一般家庭と同じように区の回収サービスを利用できます。
ただし、事業ゴミの場合は、有料のゴミ処理券を貼り付ける必要があるので注意しましょう。また、産業廃棄物の回収はできません。産業廃棄物を捨てるなら、処理業者に委託するなど、自身で処理する必要があります。
江東区で産業廃棄物の処分を行っている業者の費用相場を紹介します。多くの事業所で排出される、混合廃棄物の料金をまとめてみましたので、参考にして下さい。
ごみ.Tokyo | 約343円 |
A社 | 混合廃棄物(不燃)1立方メートルあたり21,450円から |
B社 | 混合廃棄物(ボード無)1立方メートルあたり10,500円から |
C社 | 産業混合廃棄物1立方メートルあたり9,000円から |
D社 | 混合廃棄物1立方メートルあたり8,000円から |
E社 | 混合廃棄物1立方メートルあたり20,000円から |
SDGsを推進するために、江東区は廃棄物の削減やリサイクルに関して、多彩な事業を行っています。中でも、資源回収に力を入れているのが特徴です。具体的には、使わなくなった小型家電やインクカートリッジ、古着の回収拠点を区内各地に設置しています。回収された品はリサイクルに回され、有効資源の損失を防止。特に古着は衣料用の他にウエスとして再加工されるなど、多彩な方法で活用されています。
また、フードロスを防ぐための制度が多数見当たりました。一例としては、フードドライブと呼ばれる余った食品を回収・寄付する取り組みを実施中です。
他には、食べ残しを防ぐために、30・10運動を推進しています。会食や宴会における取り組みで、乾杯したら30分間は席を立たずに料理を楽しみ、解散する10分前には食べ残しがないよう注意する、と言う内容です。
SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を省略した言葉で、2015年9月の国連サミットで国連加盟193か国が、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標を指しています。
SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に対する取り組みとして、日本でも産業廃棄物の排出に伴う適切な処理についてルールが整備されています。「つくる責任、つかう責任」にはターゲットと呼ばれる、11の更に具体的な目標が掲げられており、そこには具体的に以下のような内容が示されています。
11のターゲットの例:
・2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
・2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。