事業系ゴミ回収業者の選び方・選定ポイント・信頼できる業者の選び方について
今回は、優良産廃処理業者認定制度ついて詳しく解説します。優良産廃処理業者認定制度は産業廃棄物を適切に処理する業者に対して与えられる認定制度です。これから産廃処理業者を選ばれる方は、認定基準、概要などを抑えておきましょう。
優良産廃処理業者認定制度とは、都道府県や政令市が、通常よりも厳しい許可基準に適合した優良な産業廃棄物処理業者を審査して認定する制度のことです。
平成22年度(2010年度)に改正された廃棄物処理法第14条第2項、同条第7項、第14条の4第2項、同条第7項に基づいて創設され、改正法の施行日である平成23年(2011年)4月1日より運用が開始されました。
優良認定業者は、「優良さんぱいナビ(優良産廃処理業者ナビゲーションシステム)」で廃棄物の種類や地域、処理方法等、業区分(中間処理、収集運搬、最終処分)から検索できますので、処理を依頼する業者を選定する場合に参照することができます。
優良産廃処理業者の認定を受けるためには、以下の基準を満たす必要があります。
産業廃棄物処理業務に関して5年以上の実績があり、かつ従前の産業廃棄物処理業の許可の有効期間又は、当該有効期間を含む連続する5年間のいずれか長い期間において、廃棄物処理法に違反して改善命令等の不利益処分を受けたことがない遵法性の高い業者であることが求められます。
不利益処分については、認定を受けようとする都道府県・政令市だけでなく、その他の都道府県・政令市や環境大臣からの不利益処分も受けていないことが必要となります。
なお、すでに優良認定を受けている事業者が再度認定の申請をする場合には、5年間ではなく、7年間になることがありますので、注意してください。
会社情報や取得している許可の内容、産業廃棄物の処理状況、処理施設の維持・管理状況などの産業廃棄物の処理に関する情報をインターネットなどで一定期間※以上公表しており、かつ所定の頻度※で更新している必要があります。
事業の透明性の判断については、令和2年(2020)9月23日付の環境省告示第 74 号により、公益財団法人産業廃棄物処理振興財団が事業の透明性に関する適合証明書を発行することができるとされ、この証明書の提出をもって、事業の透明性を判断できるとされています。
ただし、この証明書の提出は必須ではないため、提出しない場合には従来通りの証明が必要になります。
※一定期間:通常の許可を受けている事業者の場合には、申請日より前6か月間、優良認定の更新を行う場合には、優良認定された日から更新の申請を行うまでの期間とされています。
※所定の頻度:変更の都度更新が必要なものに関しては、変更後遅滞なく変更すればよく、それ以外の情報は、1年に1回以上の頻度で更新を行う必要があるとされています。
ISO14001やエコアクション21などの認証を取得しており、環境に配慮した取り組みを実施していることが必要です。なお、事業所単位で取得する認証の場合には、1つの都道府県・政令市に複数の事業所を保有している場合には、そのいずれかが認証を取得していればよいと考えられています。
ISO14001とは、製品の製造やサービスの提供などの活動による環境への負荷を最小限にするように定めた国際規格のことで、これを取得することで地球環境へ配慮した活動を行っていることを国際的に証明できます。
エコアクション21とは、環境省がISO14001を参考に中小事業者にとっても取り組みやすいように規定した環境マネジメントシステムのことです。
電子マニフェストシステム(JWNET)に加入しており、事務処理の効率化、法令順守、透明性の確保などメリットの多い電子マニフェストが利用できている必要があります。
通常の産業廃棄物業者に比べ、健全な財務体制を有し安定的に事業を継続している必要があります。具体的には、次の4つが求められます。
①直近3年の各事業年度における自己資本比率が0以上であること
②直前3年の各事業年度における経常利益金額等の平均値が0を超えること
③産業廃棄物処理業等の実施に関する税、社会保険料及び労働保険料の支払いを滞納していないこと
④直近3年の各事業年度のうちいずれかの事業年度における自己資本比率が10%以上であること または、前事業年度における営業利益金額等が0を超えること
基本的には、現在受けている許可の更新時に併せて申請を実施します。ただし、平成23年(2011年)4月1日以降に1度だけ通常の許可更新を実施した場合には、その許可更新後に前倒しで優良認定を伴う許可更新の申請を行うことができます。
現在の許可を受けている都道府県や政令市
認定基準(1)~(5)に適合しているかどうか確認できる書類を提出する必要があります。
(1)誓約書
(2)前述の適合証明書や情報を公開しているホームページの該当箇所をプリントアウトしたものなど
(3)各種認定書などの写し
(4)公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが交付する電子マニフェストの使用を証する書面(加入証)の写し
(5)納税証明書や社会保険料納入確認書
などがそれぞれ必要になります。
申請できるのは、都道府県知事・政令市長から受けた許可の区分についてのみであり、その他の許可区分についての申請はできません。
例えば、A県で産業廃棄物収集運搬業の許可のみを受けている場合、A県ではその他の許可(産業廃棄物処分業、特別管理産業廃棄物収集運搬業など)についての申請を行うことはできません。
優良認定を受けた場合には、以下のようなメリットがあります。
・許可証等を活用したPR
・産業廃棄物処理業の許可の有効期間の延長(有効期間が通常5年のところ、7年間に延長)
・申請時の添付書類の一部省略(自治体の判断により申請書が一部免除される)
・財政投融資における優遇
・環境配慮契約法に基づき国等が行う産業廃棄物の処理に係る契約での有利な取扱い
今回は、優良産廃処理業者認定制度について説明してきました。
認定を受けることで対外的に信頼できる会社であることを証明することができたり、許可の有効期間が延長されたりと企業側にとってもいいことがありますので、認定を目指してみてはいかがでしょうか。