ゴミのリサイクル・SDGs・3R活動・循環型社会に向けた取り組みについて
サーマルリサイクルとは、事業ゴミ収集業者が行う一種のリサイクル方法で、廃棄物を熱処理して再利用可能な資源を取り出す技術です。
この記事では、実例を交えながら、サーマルリサイクルの仕組みやメリットについて解説します。
現代社会において、廃棄物問題は深刻な課題のひとつとなっています。その中で、サーマルリサイクルという技術が注目されています。
まずは、サーマルリサイクルとは何か、その概要と目的について見ていきましょう。
サーマルリサイクルは、廃棄物を高温で分解し、再利用可能な資源を取り出す技術のことです。具体的には、廃棄物を高温で加熱して分解し、その過程で発生したガスや液体を回収します。
再利用することで、廃棄物の処理だけでなく、新たな資源の創出やエネルギーの回収が可能になります。
サーマルリサイクルの良い点は、廃棄物を効率的かつ環境に優しい方法で処理するということ。廃棄物を埋め立てると、地盤沈下や地下水汚染などの環境問題が発生することがあるため、サーマルリサイクルによる廃棄物処理は環境保全にもつながっています。
サーマルリサイクルの目的は、廃棄物を再利用し、資源として有効活用することです。
サーマルリサイクルによって、廃棄物処理の効率化が図られ、焼却炉から発生する熱エネルギーが再利用されるため、燃料消費量の削減にもつながります。
また、エネルギーの再利用によって、新たな資源の発掘が促進されるのが目的です。他にも、廃棄物の減量によって、埋立地の使用量を減らしたり、埋立地の減少によって、環境負荷を軽減したりと、地球環境保全にもつながります。
サーマルリサイクルは、廃棄物処理業界における技術の向上も期待されています。
サーマルリサイクルは、廃棄物を高温で燃やすことで発生する熱エネルギーを利用して、電力や熱エネルギーを生み出すエネルギー再生システムです。
ここでは、サーマルリサイクルの流れと、その際に発生するエネルギーの種類について紹介します。
サーマルリサイクルの流れは、まず、収集された廃棄物を熱処理炉に投入し、高温で加熱します。その結果、廃棄物が燃焼し、エネルギーが発生。このエネルギーは、発電機や蒸気タービンを動かすなどして利用されます。
また、熱処理によって、廃棄物の重量が減少し、焼却灰や溶融スラグといった固体物が残ります。これらは、適切に処理された上で、再利用可能な資源として利用されます。
このように、サーマルリサイクルは、廃棄物の処理だけでなく、再利用可能なエネルギーの生成にも貢献しているのです。
サーマルリサイクルで得られるエネルギーは、おもに4つあります。
熱エネルギーは、廃棄物を燃焼させることで得られます。燃焼の際に発生する高温の排ガスを利用して、蒸気を発生させ、タービンを回して発電できます。
二つ目は電気エネルギーです。電気エネルギーは、熱エネルギーを利用して発電した電力を得られます。発電した電力は、電力会社を通じて一般家庭や企業に供給されます。
三つ目は燃料エネルギーです。熱エネルギーを利用して廃棄物を燃焼させることで、得られるガスや液体燃料を燃料として利用できます。この燃料は、発電用の燃料として、または工業用燃料として利用されます。
最後は冷媒エネルギーです。熱エネルギーを利用して、冷媒を発生させられます。この冷媒は、空調や冷凍用途などに利用されます。
サーマルリサイクルは、廃棄物を燃やすことでエネルギーを生み出すことができるため、さまざまな廃棄物が対象となっています。
ここでは、プラスチック製品、紙くず、廃食用油の3つの実例を紹介します。それぞれの廃棄物がどのようにリサイクルされ、どのようなエネルギーを生み出しているのか、詳しく見ていきましょう。
プラスチック製品のリサイクルにおいて、サーマルリサイクルは有効な手段のひとつとなっています。
例えば、プラスチック製の容器や包装材を熱処理炉に投入することで、再利用可能な燃料や化学原料を取り出せます。
また、プラスチックは燃焼時に有害物質を放出する可能性があるため、サーマルリサイクルによって廃棄物を処理することで、環境への負荷を軽減が可能。
一方で、プラスチック製品のリサイクルには、熱処理によるエネルギーの生成以外にも、物理的なリサイクルや化学的なリサイクルなど、さまざまな手段があります。
紙くずは、燃焼させることでエネルギーを発生できます。
サーマルリサイクルでは、紙くずを熱処理炉に投入し、高温で加熱することで、燃焼反応を促進。その際、発生した煙やガスは、適切な装置を用いて浄化し、大気中に放出されます。
また、燃焼によって発生した熱は、発電や熱供給などに利用も可能です。さらに、紙くずには炭素素材が含まれており、燃焼後には灰が残ります。この灰は、肥料や建材などとして再利用されることがあります。
廃食用油は、処理方法によっては大気汚染物質や水質汚染物質となり得ますが、サーマルリサイクルによってエネルギー資源として再利用できます。
廃食用油は、高温で加熱されることで、燃焼反応が起こり、燃料として利用が可能です。この際、燃焼によって発生する二酸化炭素は、植物の成長に必要な栄養素として再利用されます。
また、燃焼後には灰が残りますが、この灰は、肥料や建材などとして再利用されることがあります。
サーマルリサイクルは、廃棄物を燃やしてエネルギーを生み出し、環境負荷を軽減する手法です。リサイクルには、プラスチック、紙くず、廃食用油など、さまざまな廃棄物が対象となります。
サーマルリサイクルは、持続可能な社会を実現するための重要な手段であり、今後ますます注目されることでしょう。