ゴミのリサイクル・SDGs・3R活動・循環型社会に向けた取り組みについて
昨今では「SDGs」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。限りある資源を有効活用することは、持続可能な開発を進めるうえで重要になってきます。
事業者が排出する産業廃棄物もリサイクルできるのかどうか、またリサイクルできる場合にはどのようなものに生まれ変わるのかなどを説明していきます。
産業の発展により大量生産が可能になったことで、消費され廃棄されるごみが増え続けてきました。このような状況が続くと、これまで埋め立てが可能であった埋立地もいずれは処理能力を超え、パンクしてしまうことが危惧されています。
環境省の「平成30年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」では、約20年で最終処分場が一杯になり、埋め立てができなくなるという試算が出ています。
また、ほぼすべてを輸入に頼っているレアアースなどの資源や、国内埋蔵量が限られている化石燃料などは国外からの供給が途絶えれば、それらの資源を獲得することが出来なくなります。
また、世界的に見ても埋蔵量に限度がありますので、代替資源を確保する必要があります。そこで、リサイクルできるものを活用する努力が必要です。
産業廃棄物を排出する事業者にとって、その処理費用(コスト)は金銭的に大きな負担になります。排出する産業廃棄物のなかにリサイクルできるものが含まれている場合は、資源として買い取りしてもらうことが可能で、買い取りの結果として処理費用を減らすことができることもあります。
例えば、オフィスで排出される紙ごみや流通業で大量に発生する可能性がある段ボールなどは業者に買い取ってもらえる代表的なものです。
事業者が実施したリサイクルに関する取り組みは、環境報告書やCSRレポートに記載できるほか、企業のWebサイトやSNSに掲載することができます。
一般消費者や投資家、株主の目に触れることで、高い問題意識や責任感を持った企業であるというイメージを持ってもらうことができ、企業イメージのアップにつながります。
廃油は収集された後、処理工場で油水分離や遠心分離などの工程を経て、水分やスラッジなど取り除くことで、再生重油や補助燃料にリサイクルできます。さらに、フィルタにかけることで不純物を取り除き再生潤滑油として再生させることもできます。
廃油の大半は再生重油として製品化され再利用されます。また、化学反応を用いて他の物質に転換させて、工業用石鹸などの原料や、飼料・肥料として用いることができます。
ただし、塩素系潤滑油や水系潤滑油はリサイクルできず、水分や異物が多く含まれている油、腐敗・酸化がすすんでいる油はリサイクルできないことがあります。
廃プラスチックは、ペットボトルや食品、調味料を入れるチューブやパック、ビニール袋など生活の中で排出されることが多いものが大半で事業用ごみとしても多く排出されています。
廃プラスチックには、以下の3つのリサイクル方法があります。
マテリアルリサイクルでは、回収したペットボトルなどを分別し、粉砕などを行うことでフレークと呼ばれる物に加工し、再度ペットボトルや食品トレイなどの製品に作り直します。
ケミカルリサイクルでは、ペットボトルを製造と逆工程を経ることで油にする油化、回収・選別したあと塩化ビニル選別機でふるいにかけ還元剤にする高炉原料化(コークス炉化学原料化)、廃プラスチックを燃焼させることで発生するガスを化学工業の原料に再利用するガス化があります。
サーマルリサイクル(廃プラスチックを焼却処分する時に出た熱のエネルギーを利用する)
家具などを作製する際に出た端材やかんなくず、おがくずなどが木くずに当たります。基本的には、小さく砕いてチップにすることで、紙の材料になったり、断熱性・吸音性のある建材などにリサイクルできます。
また、 吸水性や保水性、通気性に優れたきめの細かい木くずであれば、家畜用の敷料に活用できます。
その他、建築廃材など燃えやすい木くずは固形燃料として利用されたり、家畜用の敷料として使用した木くずを、家畜の排泄物などと混ぜることで、たい肥として利用したりすることもできます。
産業廃棄物の中でも一番多く排出されている汚泥には、いくつかリサイクルする方法があります。汚泥は大量の水分を含んでいるため、中間処理として脱水処理(天日乾燥、遠心脱水、加圧脱水など)を実施します。
リサイクルする場合は、リサイクルする汚泥が有機汚泥か無機汚泥かで処理が変わります。
有機汚泥には、下水汚泥、紙やパルプ業からの汚泥などがあります。下水汚泥の固形部分は有機物を分解した微生物菌ですので、水分を適切に除去することで、バイオマス資源として再利用できます。
紙やパルプ業からの汚泥は、中間処理後焼却されますので、焼却する時の熱は発電エネルギーなどに利用され、焼却灰はセメント原料や路盤材に利用されます。
無機汚泥には、建設汚泥やメッキ汚泥などがあります。建設汚泥は、建設工事で掘削した際に生じた汚水ですので、脱水・乾燥させた後に盛土や埋戻し材などに再利用できます。
また、汚泥の成分が粘土と類似していることから、セメントの原料として使用されることもあります。浄水場汚泥は、これまで濃縮・脱水・乾燥を行った上で埋め立て処分されていましたが、最近ではセメント原料などへのリサイクルが進められています。
金属くずは、鉄が主成分となっている鉄くずが主流ですが、非鉄金属(銅、真鍮、アルミ、ステンレス、レアメタルなど)も含まれ、それぞれ分別され、再利用されます。金属くずは、空き缶やドラム缶など身近にあるものから、スクラップになった自動車や金属製の工具など様々なものがあります。
リサイクル方法としては、金属部分を取り除く金属回収と、不純物が多い金属を精錬する金属精錬があります。
金属回収は、パソコンやスマートフォンの内部から金などを取り除く方法です。金属精錬はアルミニウムや鉄といった金属は、何度でも精錬することで高純度な金属を取り出します。
今回は、産業廃棄物のリサイクル方法について説明してきました。今回説明したもの以外もリサイクルできるものが多くありますので、限りある資源を有効的に使用できるように、リサイクルできるものはリサイクルするという意識を持っていきましょう。