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事業系ゴミや産業廃棄物の法令・条例解説

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事業系ゴミや産業廃棄物の法令・条例の基本ルールと罰則について

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広域認定制度とは?基準と取得手続き、利用した際の事業者のメリットとは?わかりやすく解説します

2023/07/03


廃棄物の排出を抑え、適切な処理をすることで生活環境を守ることを目的に制定された廃棄物処理法の中に、「広域認定制度」というものがあります。今回は、この「広域認定制度」について紹介していきます。

広域認定制度とは?

広域認定制度とは、製造事業者等が製品端材等(産業廃棄物となった自社製品など)を広域的に回収して、製品原料等にリサイクル又は適正処理をすることを環境大臣が認定することです。

産業廃棄物処理業に関する各自治体毎に必要な許可を不要にできる特例制度のことで、2003年(平成15年)の廃棄物処理法の法改正で創設され(廃棄物処理法第9条の9、第15条の4の3)、同年12月1日から施行されています。

この制度は、製造事業者等が処理を担うことにより、製品の性状・構造を熟知していることで高度な再生処理などが期待できるなど、第三者にはない適正処理のためのメリットが得られる場合が対象となり、単に廃棄物を広域的に処理するというだけでは認定されません。

広域認定制度の対象物

広域認定制度の対象となる産業廃棄物は、廃棄物処理法第15条の4の3第1項、施行規則第12条の12の8により、以下の2つを満たすものであるとされています。

①通常の運搬状況の下で容易に腐敗し、又は揮発する等その性状が変化することによって生活環境の保全上支障が生ずるおそれがないもの

②製品が産業廃棄物となったものであって、当該産業廃棄物の処理を製造事業者等※が行うことにより、当該産業廃棄物の減量その他その適正な処理が確保されるもの

※製造事業者等:

当該製品の製造(原材料又は部品の製造を含む)、加工又は販売の事業を行う者(これらの者が設立した社団、組合その他これらに類する法人及び当該処理を他人に委託して行う者を含む)のこと

①では動植物性残さのような短期間で腐敗してしまったりするようなものが、②では製品の構造や性状を詳しく理解していない事業者が処分する産業廃棄物が対象外であるとされています。

広域認定制度の対象者


広域認定制度の申請ができる事業者は以下の要件を満たす必要があるとされています。(施行規則第6条の16、第12条の12の11)

①当該申請に係る処理を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること

②当該申請に係る処理を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること

③廃棄物処理法第14条第5項第2号イからヘまでのいずれにも該当しないこと

④不利益処分を受け、その不利益処分のあった日から5年を経過しない者に該当しないこと

⑤その他環境大臣が定める基準に適合していること

①の知識及び技能とは、法律はもちろん、当該廃棄物の性質や特徴、環境に与える影響などを熟知し、かつ、当該処理を的確に行うための技術及び能力であるとされています。

②の「経理的基礎」とは、利益が計上できていること、自己資本比率が最低10%を超えていること、債務超過の状態でないこと、税金が納付されていることなどが該当します。

④の不利益処分とは、改善命令、措置命令、業務停止命令、許可取消処分等が該当し、行政指導等は該当しません。

広域認定制度の手続き方法


広域認定制度の手続きには、大きく4つの段階があります。

相談

広域認定制度の認定を受けようとする者は、具体的な申請手続きに入る前に、最寄りの環境省地方環境事務所に相談し、実施しようとしている構想などが制度に適しているかどうかを判断してもらう必要があります。

事前確認

地方環境事務所で問題ないことが確認できれば、より具体的な処理の構想や体制を作り、申請書類を作成します。作成が終われば、書類を「環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課(産業廃棄物)」で確認してもらい、事前確認を受けます。

提出、審査

事前確認が終われば、申請書類を環境省の担当窓口に提出します。書類に不備がなければ、そのまま審査が開始されます。審査では必要に応じて現地調査が行われる場合もあります。

処理、認定

申請書類提出後、3ヶ月程度で審査・処理が完了し、問題なければそのまま認定されます。

広域認定制度のメリット


広域認定制度を利用するメリットには、どのようなものがあるか説明していきます。

処理業の許可が不要

本来、廃棄物の運搬や処分を行うためには各自治体による処理業の許可が必要ですが、廃棄物処理法の特例として、広域認定を受けている場合は国(環境大臣)の認定を受けているため、各自治体の許可が不要になります。

これに伴い、購入者(排出事業者)が産業廃棄物の処分を依頼する時に必要なマニフェストの発行が免除されることになりますが、それ以外の法的責任は残ることになります。

競合他社との差別化

産業廃棄物は、通常購入者(排出事業者)自身が処理委託先を探し、処分を依頼する必要がありますが、広域認定制度を利用しているメーカーから製品を購入すると、不要となった産業廃棄物は購入したメーカーに処分を任せることができmす。

購入者(排出事業者)の手間や負担が大幅に軽減できることになります。この点で競合他社との差別化を図ることができます。

回収品の再販売が可能

機能が低下した製品を回収した後、部品交換等を行い機能を回復させることで、低コストで製品を再販売することが可能になります。

不適正処理のリスクが減る

これは、広域認定制度を利用する会社に直接メリットがあるわけでありませんが、購入者が製品を廃棄する際、悪質な業者に依頼してしまうと不適正処理されたり、不法投棄されたりするリスクがあります。

しかし、広域認定制度を利用していれば、自社で製品を回収することができるため、不適正処理に巻き込まれ、風評被害等のリスクを抑えることができます。

製品設計の改善ができる

廃棄となった製品を効率的にリサイクルするために、処理工程やリサイクルするための過程から逆算することで再生または処理が容易な製品設計へと改善をはかり、環境にやさしい製品へと改良することができます。

まとめ


今回は、広域認定制度について紹介してきました。広域認定制度は、排出事業者から見ればそれほど大きな問題にはならないかもしれませんが、産業廃棄物を処理する時に大きくかかわってきますので、製品を購入する際に気にしてみてください。

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