事業系ゴミや産業廃棄物の法令・条例の基本ルールと罰則について
事業を行う上では、事業活動によって生じるゴミについても気を配る必要があります。
特に産業廃棄物に関する法律についてはしっかり頭に入れておく必要があるでしょう。
また、循環型社会を構築するための関連法律も、事業活動を行っていく上では無関係ではいられません。
この記事では、産業廃棄物に関する法律について解説しています。
人が利用できる資源には限りがあります。
持続的、発展的経済社会活動を続けていくためには、できるだけゴミを出さないようにし、リサイクルできるものはしっかりリサイクルし、それでもゴミになってしまうものは適切な処分を行う必要があります。
消費やリサイクルについて定められた法律について詳しく見ていきましょう。
循環型社会形成推進基本法
かつての日本は「大量生産大量消費」が当たり前の社会でした。
その結果、たくさんのものに囲まれた豊かな生活を手に入れることができたのです。
しかしこうした社会は、大量の資源やエネルギーを消費し、大量のゴミを発生させてしまいます。資源は有限ですし、大量のゴミは地球環境を汚染します。こうした事態を避けるためには、地球に負担をかけない「循環型社会」に移行していく必要があるのです。
そのために作られたのが「循環型社会形成推進基本法」です。
現在と将来の国民の健康で文化的な生活を確保し、循環型社会の形成を推進することを目的としています。
この法律では廃棄物を出す「排出責任者」と、製品が使用された後も処分について一定の責任を負う「拡大生産者責任」について明確にされています。
国民は製品をできるだけ長く利用して、利用し終わったあとはしっかり分別し、再利用できるものは廃棄ではなく回収に回すこと、廃棄物の適正な処分を行うため、行政の取り組みに協力することなどが求められます。
また事業者は、原材料やエネルギーを抑制し、循環資源については自ら適正に利用すること、できるだけ製品の耐久性を上げ、修理しやすく、再利用しやすく処分しやすい製品を作ることなどが求められます。
資源有効活用促進法(リサイクル法)
限りある資源を有効に使い循環型社会を形成していくためには、3つのR(リデュース、リユース、リサイクル)に積極的に取り組んでいく必要があります。
そのために作られたのがこの資源有効活用促進法です。
まず事業者による利用後の製品の回収、再利用を実施することなどのリサイクル活動を強化します。そして「少ない資源で長く使える製品」を作ることで廃棄物を減らし(リデュース)、回収した製品の部品などを再利用(リユース)も推進していきます。
この法律で重要なのは、事業者に対して3Rの取り組みが必要となる業種や製品を指定したことです。設計・製造段階で3R対策を行ったり、分別回収のための識別表示、事業者による自主回収、リサイクルシステムの構築などについて定めています。
日本では、ゴミに関する問題が深刻な社会問題になっています。大量に排出されるゴミ、ゴミ処分や不法投棄による動植物への影響や環境破壊、不足する埋め立て地など、大量のゴミが日々の生活を圧迫するまでになっているのです。
こうした状況を改善するために、いろいろな法律が定められています。一例を詳しく見てみましょう。
廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
廃棄物処理法は、正式名称を「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」と言い、ゴミの排出を抑制しつつ、発生したゴミを適切に処理することで、人々の生活環境を守ることを目的としています。
この法律では、「廃棄物の定義」「処理・保管等の方法」「責任の所在と罰則」などについて規定されており、事業者はこの法律に沿って事業を進めていく必要があります。
この法律の対象になるのは、大きく分けて産業廃棄物を排出する「排出事業者」と、産業廃棄物を運搬、処理する「処理事業者」です。
排出事業者は、事業活動で生じた廃棄物を、自らの責任で処理しなければなりません。自分で処理できないときは、他の業者に委託する必要があります。
契約は細かく定められた「委託基準」に則った産業委託契約によって結ばれることになります。また、委託契約を結べばそこで責任終了とはならず、処理状況について「マニフェスト」で管理しなければなりません。
廃棄物処理法における「マニフェスト」とは、産業廃棄物管理票とも呼ばれ、廃棄物の処理が適正に行われたかどうかを確認するために使う書類のことです。
排出事業者は、マニフェストを作成した上で、委託した廃棄物が適正に処理されたか否かを確認する義務を負うことになります。マニフェストは廃棄物処理法によって様式が定められており、誰がどのような産業廃棄物をどのように取り扱うかについて記載されているのです。
産業廃棄物の不法投棄は、平成10年代をピークに減少傾向にあるものの、未だ撲滅には至っていません。
不法投棄が行われた場合、実際に不法投棄を行った処理業者だけではなく、そこに処分を委託した排出業者も責任を問われることになります。例えば、帳簿や届出、処理責任者の設置、行政庁への報告に問題があった場合などは、30万円以下の罰金が科されることになります。帳簿を作成しなかった、虚偽の記載をしたなどが具体例です。
排出業者が処分業者に処分を委託した際、マニフェストを紙面で交付しなかったり、虚偽の記載をしたときも罰則の対象となり、1年以下の懲役、又は50万円以下の罰金となります。処分業者が処分を受託していないにも関わらずマニフェストを交付した場合も、もちろん違反となります。
廃棄物の無確認輸出をする目的で収集・運搬を行った場合は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金となります。
現在国内で処分しきれない廃棄物を中国や東南アジアに無断で輸出することがあり、輸出する貨物が環境大臣の許可又は確認、及び経済産業大臣の承認を受けていない場合これに当たります。
許可のない事業者への委託、許可を持たないまま廃棄物を引き取った場合は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。
使用後の製品、ゴミに関する法律は様々です。
事業活動を行っていく上で、最低限の知識は頭に入れておきましょう。
特に産業廃棄物は排出事業者に大きな責任があり、処分を委託したとしてもそこで責任が終了する訳ではありません。
違反した場合刑事罰を負う可能性もあるため、適切な処分、適切な処分委託契約を結ぶ必要があるのです。