事業系ゴミや産業廃棄物の法令・条例の基本ルールと罰則について
「産業廃棄物処理法ってどのような罰則があるの?」
「産業廃棄物処理法の違反について詳しく知りたい」
このように、産業廃棄物処理法の違反や罰則について詳しく知りたい方は、多いのではないでしょうか。この記事では、産業廃棄物処理法の違反の種類と罰則を詳しく解説していきます。
産業廃棄物を処理する際には守らなければならないルールが多く存在します。ルールに違反すると罰則や罰金の対象となってしまうため、注意が必要です。産業廃棄物処理法を把握してルールを適切に守るためにも、この記事をチェックしてみてください。
産業廃棄物処理法は、廃棄物の排出を抑制、また廃棄物の適正な分別や保管、収集、運搬、再生、処分をおこない生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的としています。
簡単に言うと、「ごみの排出をできるだけ減らして出たごみは適切に処理しましょう」です。高度経済成長に伴う大量廃棄でのごみ問題と公害問題を解決するために、制定された法律でもあります。
産業廃棄物処理法違反の種類は以下の10個が挙げられます。
①措置命令違反・改善命令違反
②無許可営業
③不法投棄(未遂)
④不法焼却
⑤無許可の業者へ運搬の委託
⑥マニフェストの不交付、記載事項漏れ
⑦契約書の作成義務違反、許可証添付漏れ
⑧管理票写し送付義務違反
⑨施設改善命令・使用停止命令違反
⑩特別管理産業廃棄物管理者設置義務違反
上記10個それぞれの内容と罰則をみていきましょう。
廃棄物の処理基準に満たしておらず生活環境に悪影響を及ぼす保管や収集運搬、処分をおこなった場合は措置命令が下されます。支障をきたしているものの除去や発生防止が目的です。
措置命令に従わなかった場合、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。また、処理基準のみ満たしていない場合でも、市区町村や都道府県知事、環境大臣から改善命令が出されることがあります。
改善命令に従わないと3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方の罰則対象です。
廃棄物の収集運搬と処分をするには、法律に沿って許可を受けなければなりません。
・事業系一般廃棄物の収集運搬・処分→市区町村の許可
・産業廃棄物の収集運搬・処分→都道府県知事の許可
・特別管理産業廃棄物の収集運搬・処分→都道府県知事の許可
無許可で営業した場合法律違反となり、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。法人の場合は罰金の上限が3億円以下に引き上げられます。
許可のない場所に廃棄物を投棄すると5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。また、不法投棄の未遂でも同じ罰則が適用されます。
処理基準を満たしている場合や法令、慣習などを除き、生活環境に影響を与える焼却は禁止されています。むやみに廃棄物を焼却すると違反となり、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
事業者が排出した一般廃棄物や産業廃棄物は、それぞれ自治体の許可を得ている業者に委託しなければなりません。無許可業者へ委託した場合は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
マニフェストを交付しなかったりし忘れ、記載事項に誤りや必須事項に記載漏れが合った場合は、罰則の対象となります。罰則内容は1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
契約書を作成せず収集運搬や処分を専門業者に委託したり、契約書に各廃棄物処理の許可証を添付しなかった場合は違反対象となります。それぞれ違反した場合は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
収集運搬・処分業者は排出者から交付されたマニフェストを記入した後、期限以内に排出者へマニフェストの返送をしなければなりません。以下がそれぞれの期限です。
・運搬と処分→引き渡し後から90日以内
・最終処分→引き渡し後から180日以内
上記の期限内に返送できなかった場合は違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
処分施設が産業廃棄物処理法が定める基準に満たしていない場合、行政から施設改善命令や使用停止命令の処分が下る場合があります。
施設改善命令や使用停止命令を無視して営業し続けた場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
特別管理産業廃棄物に該当する廃棄物を排出する事業者は、特別管理産業廃棄物管理者を設置し処理計画から最終処分までの管理が義務付けられています。
特別管理産業廃棄物管理者を設置せず特別管理産業廃棄物を排出した場合は、30万円以下の罰金が科されます。
産業廃棄物処理法の違反と罰則は処理業者のみではありません。事業ごみは排出者が責任を負うため、排出者も違反や罰則の対象となります。この記事を参考にして、違反をせず罰則の対象とならないようにしてください。