事業系ゴミや産業廃棄物の法令・条例の基本ルールと罰則について
今回は、R2認証について説明します。R2認証は電子機器のリサイクル業界において、適切な廃棄物処理とリサイクルに関する標準を設定するための認証制度です。
R2認証を取得することで、企業は、環境にやさしい廃棄物処理方法を使用することができ、顧客やパートナーから信頼を得ることができます。認定基準やルールを抑えて、取得を目指しましょう!
R2とは、Responsible Recycling(責任あるリサイクル)のことで、アメリカで広く普及している電気・電子機器のリサイクル事業に特化したリサイクルマネジメントシステムのガイドラインのことです。
電気・電子機器を取り扱うリサイクル関連事業者の評価のための基準にもなっています。R2認証は、審査機関からこのガイドラインに定めてある基準を十分に満たしていると判断された場合に取得できます。
米国環境保護庁(EPA)の指導の下で2008年に初版が発行され、現在は国際非営利団体であるSERI (Sustainable Electronics Recycling International)が運営、管理しています。
技術の進歩とともに、古い携帯電話やテレビ、コンピュータなどの電気・電子機器の廃棄物が年々増加しております。
これらは電子ごみやE-waste(Electronic waste)、WEEE(Waste Electrical and Electronic Equipment)とも呼ばれ、その処理(処分)が世界的に課題となっています。
R2認証は、この課題の解決を目指して、リサイクル事業における労働安全衛生やセキュリティに関するマネジメントの実施を要求するものです。なお、この認証制度は、アメリカ国内外の法的義務を含んでいます。
国連大学による推計によると、2014年の世界の電気・電子機器廃棄物の発生量は約4,180万トン(日本は220万トンでアメリカ(約707万トン)、中国(約603万トン)に次いで3番目)でした。
このうち半数以上が違法取引や不法投棄され、その多くが犯罪組織やマネーロンダリングと結びついている可能性があると言われています。
電気・電子機器廃棄物は、地域のごみ処理場に運ばれるか、リサイクルするために中国やパキスタン、インド、ベトナムなどの国に輸出されます。
海外へ輸出される廃棄物の中には、輸出先での扱いまで管理されていないことも多く、適切にリサイクルまたは処分されずに、ごみ捨て場に投棄されていました。
特に電子機器には、鉛やカドミウム、ヒ素、水銀などの有害化学物質が含まれており、これらが輸入国の環境や住民を脅かす要因となっていました。
R2は、使用済み電気・電子機器のリサイクル業者に対し、共通の工程や安全基準規則などを提供するガイドライン(主要規格)であり、国際標準になりつつある規格です。
そのため、R2認証を取得していることは、国際的な基準を満たしており、海外進出を行う場合や、海外に拠点を置く企業との取引を行う場合などに、企業の信頼性を担保できる要因となります。
また、有害物質を含む電気・電子機器の適切な処分を行っていることの証明にもなり、株主などのステークホルダーにCSRを示す指標にもなり得ます。
近年ではリサイクルや環境保護への関心が高まっており、米国系の電気・電子機器取扱い企業との取引においてビジネスを拡大させるための重要なツールとして、アジア各国でも認証数が増加しています。
日本では、循環型社会形成推進基本法や資源有効利用促進法のもと、リデュース、リユース、リサイクルによる循環型社会の形成を目指す企業努力が求められています。
R2は、電気・電子機器の適切なリユース・リサイクルを求めている点から、循環型社会の実現に貢献するガイドラインとなっています。
R2には以下のような特徴があります。
R2認証を取得するためには、ISO14001※とISO45001※の両方、もしくはRIOS※の取得が求められています。
製品の製造やサービスの提供など、自社の活動による環境への負荷を最小限にするように定めた仕様書で、これを取得することで地球環境へ配慮した企業活動を行っていると国際的に認められたことになります。
以前は、OHSAS18001として規定されていた内容が引き継がれ詳細化されたもので、労働安全衛生に関する世界初の国際規格です。
米国に本拠を置く非営利事業団体ISRI(Institute of Scrap Recycling Industries)により、認められる制度です。リサイクル業界向けに導入された制度で、品質、環境および労働安全衛生に関するマネジメントシステムを1つに統合した規格です。
R2認証は、使用済みの電気・電子機器の回収(引取)以降、最終処分や再販売に至るまでのすべての領域を対象にしています。
リユース(再利用)を優先した考え方を前提に、処理・処分プロセス、データ消去、テスト、修理、資源管理、施設、運送、従業員、および管理システムといった様々な項目について、その適切さと透明性を担保しているかを管理する必要があります。
重点管理物質には、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、水銀、CRTガラス(ブラウン管)、バッテリー、電子回路基板または裁断された電子回路基板が指定されており、これらには有害物質が含まれていることもあり、労働者の健康と安全、公衆衛生、環境に悪影響を与えることのないように適切な処理が規定されています。
R2認証の対象となる電気・電子機器は以下のようなものがあります。
・映像機器:テレビ、DVDレコーダー、ビデオカメラ、デジタルカメラなど
・音声機器:CDプレーヤー、スピーカーなど
・OA機器:電卓、コピー機、複合機、FAXなど
・コンピュータ:パーソナルコンピュータ、オフィスコンピュータなど
・周辺機器:HDD装置、光学ディスク、モニター、プリンタ、マウス、キーボードなど
・通信機器:スマートフォン、電話機、タブレット機器など
今回は、R2認証について説明してきました。廃棄物の処理に関する問題は日本だけではなく、世界的な問題であるということがわかる機会になったのではないかと思います。これから企業について調べる際には、国際標準に準拠しているかどうかという点でも確認してみてください。