事業系ゴミや産業廃棄物の法令・条例の基本ルールと罰則について
産業廃棄物を排出する際に気にかけておきたいのが産廃税(産業廃棄物税)です。産廃税は27都道府県と1つの政令指定都市が導入しています。すべての自治体が導入しているわけではないため、意外に知らないという事業者も多いでしょう。
産廃税は排出事業者に納税義務が課せられることが多いため、排出事業者も仕組みを理解しておかなければいけません。この記事では、産廃税の仕組みと課税対象について説明していきます。産廃税を導入している自治体も紹介していますので、合わせて確認してみてください。
産廃税(産業廃棄物税)とは、焼却施設や最終処分場へ産業廃棄物を搬入するものに対して課税することを指します。課税は、産業廃棄物の排出量や処分量によって異なります。
産廃税の目的は、より高い排出抑制効果を図るためです。課税対象は排出事業者がほとんど。課税方式によっては中間処理業者へも課税義務があります。
徴収した産廃税は自治体によって異なりますが、大きくは以下の施策に使われています。
徴収した産廃税は、環境への取り組みにも大きく貢献しています。
産廃税の課税方式は以下の4つで構成されています。
最終処分場や中間処理施設に産業廃棄物を搬入する事業者が課税対象となります。納税義務は排出事業者で、自ら税額を申告し自治体へ納付します。
納税義務は、最終処分場に産業廃棄物を搬入する排出事業者と中間処理業者です。排出事業者申告納付方式と大きく違うのは、最終処分業者が「特別徴収義務者」に指定されることです。
北九州市だけが導入している課税方式です。納税義務は最終処分業者となります。
最終処分業者特別徴収方式と同じく、納税義務となるのは排出事業者と中間処理業者です。ただし焼却処理業者も含まれているのが、最終処分業者特別徴収方式と違う点です。産業廃棄物を搬入する場所が、焼却施設および最終処分場の場合はこちらの課税方式が取られています。
以下に課税対象と納税義務者をまとめてみました。
課税方式 |
課税対象 |
納税義務者 |
排出事業者申告納付方式 |
中間処理施設・最終処分場へ搬入する産業廃棄物 |
排出事業者 |
最終処分業者特別徴収方式 |
最終処分場へ搬入する産業廃棄物 |
排出事業者、中間処理業者 |
最終処分業者申告納付方式 |
最終処分場での産業廃棄物の埋め立て |
最終処分業者 |
焼却処理・最終処分業者特別徴収方式 |
焼却施設・最終処分場へ搬入する産業廃棄物 |
排出事業者・中間処理業者・焼却処理業者 |
どの課税方式が対象なのかは、導入している自治体によって異なります。対象の自治体は、次項で表にまとめていますので、そちらと合わせて参考にしてみてください。
産廃税を導入している自治体は全国が対象ではありません。以下の表を見てもわかるように、導入している自治体は地方がメインとなっています。
課税方式 |
対象の自治体 |
排出事業者申告納付方式 |
三重県、滋賀県 |
最終処分業者特別徴収方式 |
北海道、青森県、秋田県、岩手県、宮城県、山形県、福島県、新潟県、愛知県、奈良県、京都府、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、熊本県、沖縄県 |
最終処分業者申告納付方式 |
北九州市 |
焼却処理・最終処分業者特別徴収方式 |
福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県、鹿児島県 |
注意したいのが、産廃税が対象となるのは排出事業者を置いてある自治体ではなく、償却施設や最終処分場を使った自治体がどこかということ。産廃税が対象となるのは、焼却施設や最終処分場へ産業廃棄物を搬入した自治体です。県内外問わず、納税義務であることに気を付けましょう。
産廃税は焼却施設や最終処分場へ産業廃棄物の搬入しても非課税になるケースもあります。非課税のケースも自治体により異なりますが、産業廃棄物が再生利用される施設へ搬入する場合は課税されません。また非課税(特例措置)を導入していない自治体もあります。詳しい内容は各自治体のHPで確認してみてください。
産廃税の納税は年4回に定められています。納税する場合は、各課金方式の納税義務者が申告し納入。自己処理に関しては、排出事業者または中間処理業者が申告し納入するようになっています。
産廃税(産業廃棄物税)は、すべての自治体が対象ではありません。しかし、焼却施設や最終処分場が産廃税を導入している自治体にある場合は、該当する自治体の運用に従うようになっています。
課金方式により「誰が納税義務者」なのか異なるのも大きな注意点です。対象の自治体で廃棄物処理を行う場合は、必ず各自治体のHPで運用の確認をしてください。