事業系ゴミや産業廃棄物の法令・条例の基本ルールと罰則について
近年では、生活環境の保全が求められるようになり、産業廃棄物の処理に関する法的な規制が厳しくなってきています。産業廃棄物の処理は、専門業者へ委託した場合でも不適正な処理をすると排出事業者も一緒に責任を問われてしまいます。
この記事では、排出事業者とはなにかに合わせて、排出事業者の責任範囲についても徹底解説します。排出事業者としてルールを守るために、最後まで読んで排出事業者責任についてしっかりと理解しておきましょう。
排出事業者責任とは、産業廃棄物を発生させた事業者が、適切に廃棄物を処理する責任のことをいいます。つまり、産業廃棄物の処理を委託した場合でも、排出事業者にも正しく廃棄物を処理する責任があるということです。
委託先が廃棄物を不適切な方法で処理をしていると、排出事業者も責任を負わなければいけないません。排出事業者は、委託先の廃棄物処理がどのように処理しているのかを知った上で依頼をしましょう。
排出事業者の責任範囲は、大きく分けると6つあります。どのようなことが責任範囲になるのか詳しくご紹介します。
排出事業者は、排出した産業廃棄物を適正な方法で処理する義務があります。これは、排出事業者の施設内で処理する場合に限らず、委託する場合にも適用されます。
多量の産業廃棄物を排出する事業者は、産業廃棄物に関する計画書を都道府県に提出する義務があります。計画書には、以下のような内容を記載します。
・産業廃棄物の減量目標
・産業廃棄物処理の管理体制
・再生利用に関する内容
・委託に関する内容 など
産業廃棄物の処理を委託する場合、政令で定められている基準に従いましょう。委託基準は主に2つあります。
・委託先の業者が、収集運搬及び処分の許可等を有し、委託する産業廃棄物がその許可品目の中に含まれている
・法律で定められた内容の契約書で契約すること
排出事業者が産業廃棄物の処理を委託する場合、以下の2点に従う義務があります。
・排出事業者は、委託業者へ適正な料金を支払う
・委託業者の施設の実施や処理方法が不適正だった場合、処理委託や産業廃棄物の引き渡しを中止する
産業廃棄物の処理を委託する場合、廃棄物の引き渡しと同時に「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」を交付します。処理完了後には、委託先から終了内容を記載した管理票の写しを送ってもらいましょう。管理票の写しがもらえない場合は、以下のような適切な措置を取る必要があります。
・不適正な処理が行われていないかの確認
・産業廃棄物の引き渡し中止
・委託契約終了
委託先が産業廃棄物を不適正に処理し、生活環境の保全に影響が出たり、出る可能性がある場合には排出事業者も措置命令の対象となってしまいます。措置命令の対象となるのは以下のような場合です。
・委託基準を違反する委託をした
・廃棄物処理における管理票に関する義務を違反した
・産業廃棄物の処理を委託した場合に適正な対価を支払っていない
この記事では、産業廃棄物処理における排出事業者の責任範囲について解説しました。排出事業者は、専門業者へ廃棄物の処理を委託した場合でも、産業廃棄物を発生させた責任があるため、最終処分まで適正な処理を行っているか管理する責任があります。法律で定められているため「知らなかった」では済まされないこともあるでしょう。
違反しないためにも委託業者へ産業廃棄物の処理を依頼する場合は、どのような処理を行っているのか一連の流れを契約前に把握しておくのが重要です。排出事業者として産業廃棄物の責任についてしっかりと知り、社会的責任を果たすように努めましょう。