産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)の処分方法・基礎知識・処分の流れ解説
「産業廃棄物は全て一緒じゃないの?」
「産業廃棄物の管理型と安定型ってなんだろう?」
このように、産業廃棄物の管理型と安定型について詳しく知りたいと思っている方は、多いのではないでしょうか。この記事では、産業廃棄物の管理型と安定型の基礎知識からそれぞれに該当する品目について詳しく解説していきます。
産業廃棄物には管理型と安定型と呼ばれるものがあり、それぞれ適切に分別して処理しなければなりません。
特に、管理型に該当する品目は適切に分別され処理されないと環境に害をもたらす可能性が。産業廃棄物の管理型と安定型を適切に処分するためにも、この記事をチェックしてみてください。
産業廃棄物は「管理型」と呼ばれる品目と「安定型」と呼ばれる品目に分かれます。それぞれ最終処分場が異なるため、適切に分別しなければなりません。ここでは「管理型」と「安定型」の基礎知識と該当品目について解説していきます。
管理型は、雨水などによって腐敗したり、有毒ガスが発生したりして人体や環境に悪影響をもたらす可能性がある産業廃棄物を指します。 木や紙をイメージするとわかりやすいでしょう。
木や紙が濡れると溶けたり腐ったりします。管理型を安定型に混ぜて排出してしまうと、土壌環境などに悪影響をもたらす可能性があります。分別の段階から適切な対応をしなければなりません。
一般的に管理型に分類されるのは以下15品目です。
①燃え殻
②汚泥
③廃油
④紙くず
⑤木くず
⑥繊維くず
⑧動植物残さ
⑨動物性固形不要物
⑩鉱さい
⑪廃酸
⑫廃アルカリ
⑬動物のふん尿
⑭動物の死体
⑮ばいじん
上記に該当する15品目は、埋め立てた際に染み出る液体が地下水などを汚染する可能性があります。環境に悪影響をもたらさないようにするためにも、遮水工と浸出水処理施設などがある管理型最終処分場で埋め立て処分されます。
安定型は有害物質や有機物の付着がなく、雨水などに濡れても状態に変化を起こさない産業廃棄物を指します。プラスチックや金属などをイメージするといいでしょう。安定型は管理型と混ざらないように十分に注意する必要があります。
一般的に安定型に分類される品目は以下です。
①廃プラスチック
②がれき類
③金属くず
④ゴムくず
⑤ガラス、コンクリート、陶磁器くず
※石膏ボードは管理型品目に該当
安定型品目に該当するものは最終的に安定型処分場で埋め立て処分されます。
管理型と安定型の最終処分場には基準の規定があります。それぞれの基準を満たしていないと、最終処分場として稼働してはなりません。
管理型の最終処分場は埋め立てた廃棄物の分解や腐敗による汚水や有害物の溶出の可能性があります。
廃棄物の保有水や雨水などの染み出しによる汚染から地下水や公共水域を守るために、二重構造の遮水工や保有水などの排水設備、排水処理設備、浸出液処理設備などの設備の設置が義務付けられています。
埋め立て地と外部を遮断しなければならないということです。管理型の最終処分場で安定型を処分することは可能です。
安定型の最終処分場は安定型産業廃棄物のみを埋め立てるため、埋め立て地と外部を遮断する遮水工が必要ありません。地中にある空間を利用してそのまま埋め立てることができます。
しかし、不純物がないかをチェックする展開検査や浸透水採取設備の設置は義務付けられています。
産業廃棄物を排出する際に管理型品目と安定型品目が混ざることもあるでしょう。そこで注意が必要なのが契約書とマニフェストの記載です。
管理型品目または安定型品目だけの混合廃棄物の場合は「管理型品目のみ」か「安定型品目のみ」という項目に記載すれば問題ありません。
一方、安定型品目と管理型品目が混ざっている場合は、「管理型品目を含む」という項目に記載が必要です。記載に誤りがあると、処分場に受け入れてもらえない可能性があります。
無駄な出費が増えたり、異物混入による損害賠償が発生することもあるでしょう。不適切な処分をすると懲役刑や罰金刑を科される可能性があるため注意が必要です。
管理型品目と安定型品目はそれぞれ最終処分場が異なるため、適切に分別して処理しなければなりません。
分別されていないと最終処分されない可能性があります。最悪の場合、損害賠償になることもあるでしょう。産業廃棄物を適切に分別して処理するためにも、この記事を参考にしてみてください。