産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)の処分方法・基礎知識・処分の流れ解説
「産業廃棄物の再資源化ってどんなのがあるんだろう?」
「産業廃棄物を減らす省エネルギー化の例を知りたい」
このように、産業廃棄物の再資源化や省エネルギー化の取り組みについて詳しく知りたいと思っている方は、多いのではないでしょうか。
この記事では、産業廃棄物が引き起こしている問題や産業廃棄物の削減と抑制に向けた企業の取り組みについて、詳しく解説していきます。
産業廃棄物は適切に処理されても環境に悪影響があることは変わりません。ここでは、産業廃棄物がもたらす問題についてみていきましょう。
令和2年の産業廃棄物の排出量は、3億7,382万トンとなっており前年に比べて約3.1%減少しています。産業廃棄物は再利用されるものと最終処分されるものに分かれており、令和2年では全体の2.4%に当たる916万トンが最終処分されています。
しかし、最終処分場の残存容量に限りがあり、あと数年で埋まってしまうのが現状です。新たな処分場の建設も難しいため、産業廃棄物の排出量の削減と再資源化に積極的に取り組む必要があります。
参照:環境省
https://www.env.go.jp/press/press_01385.html
産業廃棄物は処分場の残存容量の問題もありますが、適切に処理されない不法投棄も深刻な問題の一つです。
令和3年の不法投棄の量は3.7万トンとなっており前年度より-1.4万トン、ピーク時の平成10年代前半よりは大幅に減少しています。しかし、未だに不法投棄がなくならないのが現状です。
参照:環境省
https://www.env.go.jp/press/press_01043.html
産業廃棄物の削減や抑制の取り組みはさまざまな企業でおこなわれています。ここでは以下6社を取り上げます。
①富士通グループ
②ニチレイグループ
③NTT
④キリンホールディングス
⑤ニトリ
⑥良品計画
それぞれの企業がどのような取り組みをしているのかを解説していきます。
富士通ではリサイクル統合情報管理システムを導入し独自にリサイクルセンターを設け、使用済みのICT製品を適正に処理または再資源化しています。
動画での解体マニュアルの活用や材料識別機の導入などで、可能な限り廃棄物を減らすとともに、新たな製品を作る資源へと生まれ変わらせています。
ニチレイでは天ぷらの生産工場から出る植物廃油を燃料として再利用する仕組みを構築しています。
再利用された燃料を商用電力系統と連携して工場電力需要の50%を賄ったり、回収装置で回収された温水を工場内冷凍装置の霜取りとして再利用してます。
その他にも、冷凍食品を作る生産現場で排出される食品残さや鶏ふんなどを飼料や肥料に再生したりして循環型生産をしているのがニチレイグループです。
NTTではレンタルのIP通信機器(光回線終端装置やルーターなど)のリユースを子会社であるNTTロジスコと連携しておこなっています。加えて、不要となった通信設備を手作業で分解し金属やプラスチックなどに分別して、リサイクル会社へ売却しています。
キリンホールディングスは三菱ケミカル株式会社と提携し、ケミカルリサイクルのプロジェクトを実施しています。使用済みのPETボトルを独自のリサイクル方法で新品同様のPETボトルに再生させます。
また、使用済み以外のPET製品もPETボトルとして再生が可能です。2022年からはファンケルと共同して、PET材料の再利用化にも取り組んでいます。他にも紙製容器包装ではFSC認証紙使用比率100%などもおこなっています。
ニトリでは工場の製造段階で出る木材資源の端材を家具の補強材に、家具製造で出た塗料の残りを機械を洗浄するための溶剤として再利用しています。
また、家具などの製造で出た廃木材や廃プラスチックを利用して屋外ベンチを作製したりしています。
他にも、使用済みのカーペットや敷ふとんを回収してセメントとして生まれ変わらせたり、ペットボトルをリサイクルしてカーペットやラグを作ったりしているのがニトリの取り組みです。
良品計画では、使用済みの衣服を回収し色を染め直すなどして新たな価値のある商品を生み出す、アップサイクルに力を入れています。
アップサイクルが難しい衣服や繊維製品の一部は、BRINGと連携して服やさまざまな原料に再生させています。
また、生産過程で出るコットンやウールなどの切れ端やあまり糸を原料として、再生コットンや再生ウール入りの商品として売り出す素材を無駄にしない取り組みが良品計画の特徴です。
産業廃棄物は日本で深刻な問題を引き起こしており、再資源化や省エネルギー化を積極的に進めていかなければなりません。
産業廃棄物の再資源化や省エネルギーが当たり前の世の中になると、処理場の残存容量の問題や環境問題が改善されていくでしょう。
紹介した企業の取り組みを参考にして、産業廃棄物の再資源化や省エネルギー化に努めてみてください。