事業系ゴミ・産業廃棄物に関する品目・用語・覚えておくべきキーワード集
太陽光パネルの製品寿命は、25〜30年程度とされています。太陽光パネルを継続して使用するためには、メンテナンスや買い替えが必要になってきます。
太陽光発電は、2012年のFIT法改正によって普及率が高まりました。この時期に使用を開始した太陽光パネルは、2040年頃から大量に廃棄されることが予想されます。
本記事では、太陽光パネルの廃棄方法と費用について解説します。
太陽光パネルは、産業廃棄物に該当します。
太陽光パネルは、鉛、カドミウム、セレンなどの有害物質を含む場合があります。そのため、廃棄物処理法の定める「性状が著しく有害性又は危険性を有する廃棄物」に該当し、原則として産業廃棄物となります。
そのため、一般家庭の屋根に設置されたものであっても、産業廃棄物として処分する必要があります。分解するなどして家庭ごみとして廃棄することはできないので注意してください。
太陽光パネルの廃棄方法は、主に以下の2つがあります。
太陽光パネルは、主にガラス、シリコン、アルミニウム、銅などの資源で構成されています。これらの資源を再利用することで、新たな太陽光パネルや他の製品を生み出すことができます。
リサイクルを希望する場合は、太陽光パネルメーカーや産業廃棄物処理業者に依頼します。メーカーに依頼する場合は、回収費用が無料になる場合があります。
回収された太陽光パネルは、中間処理場で分離、破砕、選別などの工程を経て、アルミフレームやガラスに再利用されます。
リサイクルできない太陽光パネルは、埋立処分されます。埋立処分する際は、水漏れや有害物質の流出を防ぐための措置が必要になります。
埋立処分された太陽光パネルは、約300年かけて自然に分解されます。
※埋立処分する場合は、自治体に依頼します。埋立処分費用は、自治体によって異なります。
太陽光パネルを処分する際は、以下のような費用が発生します。
太陽光パネルの撤去費用は、作業費、人件費、足場代で構成されています。人件費は作業費に含まれています。
作業費は10万円程度、足場代は1㎡あたり700円~1,000円程度が相場です。30坪の2階建ての家であれば、15〜20万円を目安にすると良いでしょう。
処分費用は、パネルの種類や重量、処分方法によって異なります。
単結晶ソーラーパネルの重さ18㎏以下:1枚あたり1,200円程度
多結晶ソーラーパネルの重さ18㎏以下:1枚あたり1,000円程度
重量が18㎏を超える場合は、重量に応じて処分費用が高くなります。
運搬にかかる費用は、処分場までの距離によって変動します。
撤去費用と運搬・処分費用を合計すると、安くても20万円以上、30万円前後になることもあるでしょう。パネルを設置した時と同等の費用がかかることもあります。
また、家屋をそのまま使い続けるのであれば、プラスして屋根の修復費が必要です。部分補修なら数万円~30万円、新しい屋根材に張り替えをすると100万円前後の費用が発生します。
太陽光パネルの廃棄に伴う懸念点は、大きく分けて以下の3つです。
太陽光パネルは、ガラスやアルミニウム、シリコンなど、資源価値の高い素材で作られています。しかし、これらの素材を効率的にリサイクルすることは難しく、処分費用は高額になると考えられています。
環境省の試算によると、2040年には年間約80万トンの太陽光パネルが廃棄される見込みで、その処分費用は約5,000億円に上る見込みです。
処理費用が高額のため、製品寿命を超えて使用を続けたり、不法投棄される可能性があることも懸念されています。
参照:太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン
太陽光パネルには、鉛やセレンなどの有害物質が含まれている場合があります。適切に処理されなかった場合、これらの有害物質が土壌や地下水に流出し、健康被害や環境汚染を引き起こす可能性があります。
太陽光パネルは、最終処分場への埋め立てが認められています。しかし、太陽光パネルの大量廃棄が進むと、最終処分場のひっ迫につながる可能性があります。
このような懸念点を解消するためには、以下の対策が考えられます。
太陽光パネルのリサイクル率を高めることで、処分費用の抑制や有害物質の流出防止につながります。そのためには、リサイクル技術の開発や、リサイクル業者の支援などが求められます。
太陽光パネルの再利用を促進することで、廃棄量の削減につながります。そのためには、再利用の市場拡大や、再利用の際の技術開発などが求められます。
1. 太陽光パネルのリサイクルは義務化されますか?
現在、太陽光パネルのリサイクルは義務ではありません。
しかし、環境省は太陽光パネルのリサイクル義務化を検討しており、リサイクル推進に向けたガイドラインやリサイクル体制の整備を進めています。
そのため、近い将来、太陽光パネルのリサイクルが義務化される可能性が高いと言えます。
2. 太陽光パネルの2040年問題とは?
太陽光パネルの2040年問題とは、製品寿命を迎えた太陽光パネルが大量に廃棄される問題のことです。
太陽光パネルの寿命は、一般的に約20~30年とされています。2012年に開始された固定価格買取制度(FIT法)により、多くの太陽光発電設備が設置されました。
当時設置した太陽光パネルは、2040年頃に寿命を迎えるため、大量の廃棄物が発生することが懸念されています。
この問題を解決するためには、太陽光パネルの寿命を延ばす技術の開発や、リサイクル率の向上が求められています。
3. 家庭用ソーラーパネルの捨て方は?
家庭用ソーラーパネルは、産業廃棄物として処理する必要があります。そのため、家庭ごみとして捨てることはできません。メーカーや産業廃棄物処理業者に回収を依頼しましょう。
今回は、太陽光パネルの基本的な性質や処理方法、処理費用について解説しました。
太陽光パネルを処分する場合は、多くの費用が発生します。また、リサイクル率の向上や最終処分場の確保といった社会的課題も残されています。
太陽光パネルを処分する際は、可能な限りリサイクルすることを前提とし、メーカーや廃棄物処理業者に相談しましょう。
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