事業系ゴミ・産業廃棄物に関する品目・用語・覚えておくべきキーワード集
産業廃棄物の中には、「廃プラスチック類」と呼ばれるものがあります。今回は、廃プラスチック類について説明していきます。
廃プラスチック類とは、事業活動に伴って排出される産業廃棄物のうちプラスチックを製造する過程で生じるプラスチックの破片や、不要になって廃棄処分されるプラスチック製品のことを指します。
廃プラスチック類に関しては、ペットボトルや弁当がらなども含まれることになりますが、これらが廃プラスチック類に相当するかは難しいところです。
事業活動の中で発生はしませんが、従業員の飲食したものはした物は事業所の廃棄物として扱われますので、産業廃棄物として処分すべきか、事業系一般廃棄物として処分すべきかは、事業所を管轄する自治体によって、どちらに含まれるか異なります。
どちらで処分するのか不明な場合には、委託先事業者に確認するか、管轄の市区町村に確認する必要があります。
廃プラスチック類に含まれるのは、「合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む)など固形状・液状のすべての合成高分子系化合物」とされています。
具体的には、コンテナケースやビニール袋、合成ゴム、合成繊維のくず、PPバンド、廃タイヤ、発泡スチロール、食品容器、ペットボトル、事務用品、包装やフィルム類などが含まれ、材料にプラスチックが含まれているものは、基本的には廃プラスチック類に分類されることになります。
廃プラスチック類は、環境への影響が問題視されており、他の産業廃棄物に比べても大きな課題を抱えているものの一つです。現在、日本が抱えている問題をいくつか紹介します。
日本の廃プラスチック類の処分方法としては、海外への輸出がほとんどで、主要な輸出先は中国でした。しかし、2017年末、中国が廃プラスチック類の輸入を禁止したため、台湾や東南アジアへ輸出していましたが、これらの国々も次々に輸入規制を導入し始め、日本は輸出先を失うことになりました。
これにより、国内での処理をしなければならなくなっていますが、これまでそれほど対応してきてこなかったこともあり、これらへの対応が問題となっています。
バーゼル法とは、「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」のことで、バーゼル条約※に対応するために制定された法律です。バーゼル条約は世界情勢に合わせて内容が変更されるため、それに合わせて法律の内容も変更されることになります。
注意したいのは、バーゼル条約やバーゼル法の対象となるのは「リサイクルに適さない汚れた廃プラスチック」であるため、プラスチック以外の異物が混入していなかったり、泥や油といった汚れが付着していなかったり、裁断されフレーク状になっていたりするなど、一定の条件を満たした廃プラスチックであれば、規制の対象にならずに輸出入することが可能になっています。
有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」のことで、1989年3月にスイスのバーゼルで採択されました。この条約では、輸出入された廃棄物による住民への健康や自然環境などへの影響を防ぐことを目的として、一定の有害廃棄物(廃電子基板や使用済み鉛蓄電池など)の国境を越える移動などの規制についての国際的な枠組みと手続きなどを規定しています。
近年では廃プラスチック類の問題として、海洋汚染が注目されています。ポイ捨てされたり、適切な処分がされないまま流されたりした廃プラスチック類は、海洋プラスチックとなって、海洋汚染や生態系に悪影響を及ぼしてしまいます。
サメやクジラの体内から、ビニール袋が発見されたなどのニュースを見聞きしたことがある人も多いかと思います。ビニール袋を飲み込んでしまったために、その命を失うことになり、結果として生態系に大きな影響を与えることになってしまいます。
海に流出するプラスチックごみの量は、世界中で年間800万トンにものぼるという試算が出ていたり、2050年には海洋プラスチックごみの重量が海に住む魚の重量を超えると予測されていたり、廃プラスチック類による海洋汚染は世界的な問題として対応を迫られています。
廃プラスチック類の処理方法としては、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルの3つがあります。
マテリアルリサイクルとは、廃プラスチック類の材質を活かして、他の製品や別のプラスチック材料として活用する方法のことです。衣類や包装用トレイ、コンテナやベンチなどを作る材料として活用されています。
ケミカルリサイクルとは、廃プラスチックを薬品などを使用して化学的に処理することで、化学原料として再生する方法です。ガス化処理をして水素やメタノールなどの基礎化学品を作ったり、高炉の還元剤や熱源として利用されたりして活用されています。
サーマルリサイクルとは、廃プラスチック類を処理するときに発生する熱エネルギーを、熱源として利用する方法です。発電や温水利用に活用したり、固形燃料化にしたりすることで活用されています。
今回は、産業廃棄物としての廃プラスチック類について説明してきました。我々の生活の中には多くのプラスチック製品があふれています。家庭で排出される物も多いですが、事業活動で排出される物のほうが圧倒的に多いです。廃プラスチック類の処理方法が大きな問題になってきていますので、適切で環境に優しい方法をとることを考えていってください。