事業系ゴミ・産業廃棄物に関する品目・用語・覚えておくべきキーワード集
「産業廃棄物の廃油はなにが該当するの?」
「廃油のリサイクル方法を詳しく知りたい」
このように、産業廃棄物の廃油の処理について詳しく知りたいと思っている方は、多いのではないでしょうか。この記事では、産業廃棄物に該当する廃油の種類やリサイクル方法、処分方法などを詳しく解説していきます。
廃油は食品を取り扱う工場や自動車整備、ガソリンスタンドなど多くの事業者が排出することがある産業廃棄物です。廃油を適切に分別して処理することで、リサイクルできる可能性があります。しかし、気をつけなければならない廃油の存在も。廃油の適切な処理方法を理解するためにも、この記事をチェックしてみてください。
事業活動によって発生した使用済みの油を廃油といいます。廃油の中には産業廃棄物として普通に処理できるものと特別管理産業廃棄物として処理しなければならないものがあります。
産業廃棄物に該当する廃油は以下のものが挙げられます。
潤滑油、エンジンオイル、重油、スピンドル油、冷凍機油、ダイナモ油、焼入油、タービン油、マシン油、エンジン油、コンプレッサー油、真空ポンプ油、グリース、洗浄油系廃油、絶縁油系廃油、油圧用廃油、防錆油など
魚油、鯨油、豚脂、牛脂など
サラダ油、ラード、天ぷら油、ひまし油、大豆油、ごま油、なたね油、やし油、食用廃油、フラックス廃油、廃溶剤 など
洗浄油、石油、パラフィン、ホワイトゾール、固形油 アスファルト、クレヨン、固形石けん、揮発油類 ガソリン、灯油、軽油など
油紙くず、ウエス、ワニス、印刷インクカス、白土、タンクスラッジ、塗料スラッジ、塗料廃液、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル、消泡剤、美汁、タールピッチ、アスファルト、ワックス、ろう、油性スカム、洗車スラッジなど
引火点が70°未満で燃えやすい油は特別管理産業廃棄物として処理しなければなりません。たとえば、灯油類や軽油類が挙げられます。資格を持つ専門の業者に収集・運搬や処分も委託して処理する必要があります。
※特別管理産業廃棄物とは爆発性や毒性、感染性、その他の人の健康や環境に影響を及ぼす可能性のある性状の廃棄物のことをいいます。
古い絶縁油には、PCB(ポリ塩化ビフェニル化合物)という食中毒や発がん性などの健康に害を及ぼす可能性がある物質が含まれている場合があります。PCBは昭和47年以降の新たな製造や使用は禁止されていますが、PCBが使用されている製品は処理しきれていないのが現状です。
特定の有機塩素化合物を含む廃油も人の健康や環境に悪影響を及ぼす可能性があります。引火性の廃油と同様に特別管理産業廃棄物として処理しなければなりません。
廃油のリサイクルは主に「再生重油」と「その他の原料」の2つになります。廃油全体の約4割ほどがリサイクルされているのが現状です。しかし、水分や異物が多く含まれてる廃油は、リサイクルできないため、保管には十分注意しなければなりません。
排出された廃油をリサイクル工場で油水分離や遠心分離をし、水分や汚泥、沈殿物などを取り除いて再生重油にする方法です。エンジンオイルや油性切削油、ギヤー油などのリサイクルに適した廃油の大半は、この方法で製品化されます。塩素系潤滑油や水系潤滑油などのリサイクルに適してない廃油は、油水分離した後に焼却処分されるのが一般的です。
排出された廃油を化学反応によって他の物質に換え、肥料や飼料、工業用石鹸、塗料などの別の原料としてリサイクルします。別の原料のリサイクルに適している廃油は、廃食用油です。
廃油の処分方法は以下の手順でおこなわれます。
①減量化
②焼却処分
③埋め立て
最終処分は埋め立てになりますが、前段階で埋め立てまでの量を減らしていく処分方法になります。
リサイクルが4割ほどになる一方、廃油は減量化率が高い産業廃棄物です。令和2年のデータによると、54%の廃油の減量化に成功しています。減量化によって量を減らせると最終処分の負担を減らすことが可能です。減量化できる数少ない産業廃棄物の1つになります。
最終処分は埋立となりますが、前段階に焼却処分をおこないます。発熱量の高い廃油の焼却にはロータリーキルンや固定床炉を使用するのが、一般的です。発熱量が少ない廃油は流動床炉を使用します。
減量化と焼却処分を経た廃油は、産業廃棄物処理の基準に沿った埋め立て処分がおこなわれます。埋め立て処分ができる量には限界があるため、できる限りリサイクルや減量化に努めることが大切です。
廃油は減量化ができるため、最終処分の量を大幅に減らすことができます。しかし、最終処分場には限りがあるため、リサイクルなど他の方法での処理が求められます。分別を徹底して、廃油のリサイクルに努めましょう。