事業系ゴミ・産業廃棄物に関する品目・用語・覚えておくべきキーワード集
産業廃棄物の中でもリサイクルできることが多く、一定の価値を持っている優秀な産業廃棄物の一つです。今回は、金属くずについて説明していきます。
金属くずとは、で、なじみのあるものでいえば空き缶(アルミ缶やスチール缶など)やハサミ、包丁などが該当します。金属くずは廃棄物処理法第2条第4項や政令第2条で「ハンダかす・鉄鋼・非鉄金属の研磨くず・切削くずなど」と定義され、金属くずのうちPCB(ポリ塩化ビフェニル)が付着したものは、特別管理産業廃棄物に分類され、通常とは異なる処理が必要です。
金属くずを排出する業種は指定されておらず、金属加工場だけでなく、飲食店やスーパーマーケット・小売店・オフィス・医療機関など、様々な事業場からの排出が予想されます。金属くずはリサイクルしやすく、有価物として買取も頻繁に行われています。金属くずに該当する場合は、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行して、正しい処理を行う必要があります。
金属くずは、鉄で構成された鉄くず(鉄スクラップ)やアルミ・ステンレス・レアメタル・金・銀・銅・真鍮などの非鉄が対象になります。
鉄くずは、発生源ごとに分ける方法と鉄の種類ごとに分ける方法があります。発生源ごとに分ける場合、以下のように分けることができます。
・自家発生スクラップ:鉄鋼メーカーにおいて製鋼や製品加工で生じるもの
・市中スクラップ:製品として市場に出回った後で生じるもので、さらに工場発生スクラップ(製鋼を使って機械や車を作る時に発生するスクラップ)と老廃スクラップ(建築物や車両の解体、使用後の鉄製品から生じるスクラップ)に分けられます。
鉄の種類ごとに分類する場合、銑(せん)くずと鋼(はがね)くずに分けられ、さらに上銑くず、並銑くず、可鍛鋳(ちゅうたん)鉄銑くずに分けられ、鋼くずは炭素鋼くず、低銅炭素くず、低りん、低硫、低銅炭素鋼くず、合金鋼くず、雑用鋼くずに分けられます。
金属くずが発生する場所としては、工場や飲食店、スーパーマーケット・小売店・オフィス・医療機関、建築現場など様々な場所が想定されます。
工場の場合、生産しているものによって差がありますが、金属系製品を作っている場合には、毎日研磨くずや切削くずが発生します。工場で使った機械やスパナ・モンキーなどの手動工具、切削により生じるカット粉やパーマ屑、鉄板を加工する時に生じる新断スクラップ、スチール缶プレスなどが具体例として挙げられます。
また、ドラム缶などのオイルや液体を保存する容器系スクラップは、残液がないことを確認し、内部が見える状態にしておくことが必要です。
病院では治療や手術に使う機械や機材から、ベッドやロッカーなどの備品に至るまで、様々な場面で金属が使用されています。治療や手術に使用した機材などは毎日のように発生し、ベッドなどの備品を買い替える時や処分する時には、膨大な金属くずが発生することになります。
また、最近では電子カルテの導入が進んだことで、紙カルテの保存に使用していたキャビネットなどを、金属くずとして処分する事例が増えています。
建物の解体現場で発生する鉄くずは総称して建築系スクラップと呼ばれ、具体的には建設機械や手動工具、解体工事で生じる鉄筋屑、トタンやアルミサッシなどが挙げられます。建物の付帯設備や道路の側溝の蓋に用いられることが多いグレーチングも鉄くずの一種となり、特に問題がない限り再利用されることが多いです。
金属くずの処理方法としては、リサイクルされるか、埋め立てされることがほとんどです。
冒頭でも述べた通り、金属くずはリサイクルされる割合が高い産業廃棄物の一つです。処理場に搬入される金属くずは、不純物を含んでいることが多いため、リサイクル前の処理が必要になります。リサイクル処理工程としては、金属精錬と金属回収があります。
金属精錬とは、不純物を多く含む金属から不純物を取り除き、高純度の金属を抽出する手法のことです。アルミニウムや鉄は何度も繰り返し精錬が可能なため、リサイクルに向いている金属ということができます。
金属回収とは、廃棄物や精錬された金属の中から鉄・金・銀・銅などの金属を収集する手法です。電子機器の構成部品であるプリント基板(PCB)から金や銀を取り出したり、スマホから金属がを取り
リサイクルすることが難しい金属くずは、最終的に埋め立て処理が行われます。一部の例外を除き、金属くずは雨水などの環境による変化が生じないため、「安定型産業廃棄物(有害物質や有機物などが付着しておらず、また雨水などにさらされてもほとんど変化しない生活環境保全上の支障の恐れが少ない産業廃棄物)」に規定されていますので、安定型最終処分場に運ばれて埋め立て処理が行われます。
今回は、産業廃棄物の金属くずについて説明してきました。金属くずは、鉄くずが主流ですが、その他、銀などの非鉄のものも金属くずになります。金属くずは、リサイクルできることが多く、最終処分される割合が低いですが、PCBなどに汚染されている場合には、特殊な処理が必要になります。
適切な方法で処理すれば、有価物として売却もできますので、きちんとした知識を持って処理するようにしてください。