事業系ゴミ・産業廃棄物に関する品目・用語・覚えておくべきキーワード集
石膏ボードは、建築資材として幅広く活用されています。ホームセンターなどでも購入できるため、業務用に使用するのはもちろんのこと、個人でDIYをする方も利用しやすい資材です。
この記事では、石膏ボードの適切な処分方法や費用、手順について詳しく解説します。石膏ボードを廃棄する際は、分別等で注意すべきポイントがあります。
産業廃棄物処理業者への依頼や最終処分場の利用など、適切な処理方法についてご紹介します。
石膏ボードは、石膏と水を混ぜ、両面を紙で覆った板状の建築資材です。
防火性、遮音性に優れており、建築物の壁や天井などさまざまな場所に使われています。
石膏ボードはどのゴミに分類される?
石膏ボードは、産業廃棄物の「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」に分類されます。
これは、石膏ボードが水に触れることで化学反応を起こし、硫化水素が発生するためです。硫化水素は、人体に悪影響を及ぼす有害物質です。
以前は、製造工程から出る廃石膏ボードは「ガラス・コンクリート・陶磁器系廃棄物」、建設・解体工程から出る廃石膏ボードは「がれき類」と、発生源によって分類されていました。
しかし、近年では、排出された場所や状況に関わらず、廃石膏ボードはすべて「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」として扱われることになっています。
石膏ボードは、有害物質である硫化水素が発生する可能性があるため、産業廃棄物として処理する必要があります。
石膏ボードの廃棄方法として、主に以下の3つがあります。
最も一般的なのは、産業廃棄物処理業者に運搬や処理を依頼する方法です。
産業廃棄物処理業者は、廃棄物の適切な処理方法を熟知しており、マニフェスト発行にも慣れているので、安心して依頼することができるでしょう。
業者に収集運搬や処分を依頼する際は、その業者が産業廃棄物の収集運搬および処分の許可を取得しているか必ず確認してください。無許可の業者に依頼してしまうと、排出事業者側に罰則が科せられる可能性があるので、注意してください。
個人であっても、個人事業主として届け出を出していれば、最終処分場への持ち込みが可能です。自分で運搬を行うため、費用を抑えることができます。
しかし、大量に廃棄する場合は、車で何往復もしなければなりません。また、マニフェストを作成しておく必要があるので、手間がかかります。
最終処分場に持ち込む際は、持ち込みのルールや費用を事前に確認しましょう。
不用品回収業者の中には、石膏ボードの回収を行っている業者もあります。不用品回収業者に処分を依頼する場合も、産業廃棄物の収集運搬および処分の許可を持っているか確認してください。
石膏ボードを廃棄する際にかかる費用は、石膏ボードの種類や状態、処分方法によって異なります。
例えば、強化石膏ボードや化粧石膏ボードは、普通の石膏ボードよりも費用が高くなります。
また、解体に伴い排出されたものであったり、付着物があるか否かによって料金が変動する場合があります。
処分費用は、どのような方法で処分するかによっても異なります。産業廃棄物処理業者に処理を依頼した場合、業者によって料金は異なります。
費用の目安は、以下のとおりです。これらの費用はあくまでも目安であり、実際の費用は、業者や地域によって異なります。
産業廃棄物処理業者に処分を依頼する場合
持ち込み:1立米あたり10,000円~20,000円
引き取り:1立米あたり15,000円~30,000円
最終処分場に直接持ち込む場合
1立米あたり30,000円~50,000円
不用品回収業者に処分を依頼する場合
1立米あたり10,000円~20,000円
石膏ボードの廃棄費用を安く抑えるためには、複数の業者から見積もりをとって検討することをおすすめします。
石膏ボードは産業廃棄物に該当するため、一般ごみとして処分することができません。適切な方法で処理をしないと、人体や生活環境に悪影響を及ぼします。
石膏ボードは、水と反応して硫化水素を発生させる恐れがあります。硫化水素は有害物質であり、吸い込むと気管支炎や呼吸困難の原因になります。また、硫化水素が放出されることで、大気汚染を引き起こす可能性があります。
実際に、不法投棄によって放置された石膏ボードから硫化水素が発生し、近くにいた人が吸い込んでしまうといった事故も発生しています。
個人で石膏ボードを処分する場合は、以下の手順で処分を行います。
①石膏ボードを袋に入れて保管する
密閉できる袋に入れ、水に触れたり、粉塵が飛散するのを防ぎましょう。
②最終処分場に持ち込む
個人事業主であれば、最終処分場に持ち込みが可能です。
最終処分場に持ち込む際は、マニフェストを持参する必要があるので、事前に準備が必要です。また、持ち込みの際に特別なルールがないか、あらかじめ確認しましょう。
廃棄物処理法では、排出事業者、処理業者が違反行為を行った場合の罰則が定められています。具体的には、以下のような罰則規定があります。
不法投棄、不法焼却
5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はこの併科(法人の場合は、3億円以下の罰金)
無許可業者への委託
5年以下の懲役若しくは1,000万円の罰金またはこの併科
マニフェストの不交付、虚偽記載など
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
運搬や処分を業者に委託しても、その業者が違反行為を行った場合は、排出事業者にも罰則が科せられることがあります。
業者を選ぶ際は、許可を取得しているか、契約書やマニフェスト作成を行っているかなど注意深く確認しましょう。
1. 石膏ボードは家庭ゴミに出せますか?
石膏ボードは家庭ゴミに出すことはできません。
石膏ボードは産業廃棄物に分類されるため、自治体で収集、処分することができません。
2. 石膏ボードは燃えるゴミですか?
石膏ボードは燃えるゴミではありません。産業廃棄物の「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」に該当します。
小さいものであっても、一般の可燃ごみに混ぜて廃棄することはできないので注意してください。
3. 石膏ボードを土に埋めるとどうなる?
石膏ボードを土に埋めると、硫酸イオンが還元され、硫化水素が発生する可能性があります。
有毒物質である硫化水素は、人体に悪影響を及ぼします。また、土壌の水素イオン濃度(pH)を低下させ、植物の生育に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、そのまま埋めることはできず、産業廃棄物として適切な処理を行う必要があります。
石膏ボードは安価で入手しやすいため、業者だけでなく、個人のDIYなどでもよく利用される資材です。
廃棄する場合は、産業廃棄物として適切に取り扱う必要があります。違反行為を行わないためにも、廃棄する際のルールを把握しておきましょう。
硫化水素の発生や健康被害のリスクを防ぐため、産業廃棄物処理業者に収集・処分を依頼することをおすすめします。
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