事業系ゴミ・産業廃棄物に関する品目・用語・覚えておくべきキーワード集
ひとことで産業廃棄物といってもその種類は数多く分類されています。その中で動物の糞尿についても、事業活動の内容次第では、一般廃棄物として扱われることとなります。
廃棄物はその処理方法などについて指定がされており、適正な処理を行うことが大切です。間違った処理を行うことは環境問題の発生原因になることもあります。そこで、今回は産業廃棄物の分類、動物由来の廃棄物について詳しく解説していきます。
産業廃棄物として処理する必要がある動物の糞尿とは、畜産農業における事業活動で発生する動物の糞尿のことをいいます。
具体例としまして、牛、馬、豚、羊、にわとり、あひる、がちょう、うずら、七面鳥、ウサギなどの糞尿です。
畜産農業以外の事業活動の動物園やペットショップなどで発生する動物の糞尿については一般廃棄物として扱われます。
動物の糞尿は最終処分率が低く、そのほとんどが再利用されています。肥料化として再利用されることが多く、最近では堆肥化などの過程で生じるガスや熱を利用したバイオマスエネルギーとしても有効に活用されています。
動物の糞尿については再生資源として有用な廃棄物とされています。
産業廃棄物の中で動物が発生源となるものが存在しています。
・動植物性残さ
・動物系固形不要物
・動物の死体
上記と合わせて動物の糞尿は動物が発生源となる産業廃棄物です。ここでは、動物が発生源となる産業廃棄物について詳しく解説していきます。
動植物性残さとは、特定の業種で原料として使用された動物性または植物性の固形状態の不要物のことをいいます。具体的に、食品製造業や香料製造業などで排出された動物や魚の皮・貝殻・羽毛・野菜くず・油かすが対象です。
しかし、動植物性残さについて排出する業種や事業内容で産業廃棄物と一般廃棄物のどちらとして処理することになるかは変わってきます。
動物系固形不要物とは食肉処理場や食鳥処理場で発生した皮、骨、内臓、羽などの使わない部位の固形物のことをいいます。食肉処理場や食鳥処理場以外の食品加工工場などから排出されたものは動植物性残さとなるため、種類の分類には注意が必要です。
動物系固形不要物の処理方法は、焼却処理をおこなった上で焼却灰を埋め立てます。再利用の方法としては、焼却灰をセメント原料や路盤材などとして再生する方法があります。
動物の死体は、畜産農業から発生したものを産業廃棄物として処理を行う必要があります。例えば製薬会社の研究施設で発生したモルモットの死体などは一般廃棄物として処理を行います。
処理方法としては、動物系固形不要物と同じく焼却処理されたのち、埋め立てたり、セメント原料や路盤材として再利用する方法が多いです。
動物由来の廃棄物は、決まった処理方法があるにも関わらず、不適切な処理が行われている状況もあり、畜産環境問題が発生しています。
適切に処理を行えば、その大部分は再利用が可能な動物由来の廃棄物。ここでは動物由来の廃棄物の処理などについての畜産環境問題について詳しく解説していきます。
畜産業は、現在までの食生活の向上を背景に大きく変化をしてきました。しかし、畜産農家当たりの飼養規模の拡大などにより、環境問題への関心が高まっている背景があります。
畜産業で飼育している家畜動物の糞尿によって悪臭や水質汚染が発生することとなります。そのため、畜産業の飼育している動物が発生の原因となる環境問題を、畜産環境問題と呼んでいます。
畜産環境問題の大きな問題としまして、飼育動物から発生する排せつ物を積み上げたまま処理を行わない「野積み」や、地面に穴を掘り飼育動物の排せつ物をその穴の中に貯めて適正な処理を行わない「素掘り」など、家畜排せつ物の不適切な処理などが大きな発生原因とされています。
家畜排せつ物から発生する、硝酸性窒素による地下水汚濁やクリプトスポリジウムによる、水道水源の汚染など人の健康にも影響を与えるの大きな問題も考えられます。このような問題が起きないないように、畜産環境問題への適切な対応が急がれている状況です。
家畜の糞尿の成分や性状は、家畜から排せつされた後に乾燥や微生物の分解によって徐々に変化していきます。しかし微生物分解によってできたたい肥のことを「家畜ふん尿」と呼ぶことはありません。
家畜排せつ物法をはじめ畜産環境問題への取り組みに際しては、家畜から排せつされて間もない糞尿だけではなく、乾燥した状態のものであったい、微生物の分解を受けたものも含めて家畜排せつ物として一括して取り扱うこととしています。
畜産業で発生する家畜排せつ物は、畜産環境問題の原因のひとつとされますが、土壌改良資材や肥料としての再利用されることが多く、価値が大きい貴重なバイオマス資源にもなります。その有用性から畜産環境問題の解決のポイントになりえます。
畜産環境問題の解決には、家畜排せつ物の処理や管理を適正化することで、環境問題発生の防止と軽減を行えます。さらに家畜排せつ物の利活用を促進することにより、資源の有効活用を図ることができます。このための具体的な処理や管理の徹底、再利用の重要性を認識し畜産環境対策を早急に行うことが重要となります。
今回は、産業廃棄物として扱われる動物の糞尿についてと、動物由来の廃棄物について解説していきました。事業活動の内容によって、分類が変わる動物の糞尿などの産業廃棄物ではありますが、処理方法や再利用の方法など、適正な扱い方は決まっています。
間違った扱い方は人間にも影響を及ぼし、環境問題に発展してしまいます。そうならないためにも、分類される産業廃棄物の項目による、適正な処理を実施していくようにしましょう。