事業系ゴミ・産業廃棄物に関する品目・用語・覚えておくべきキーワード集
産業廃棄物の一種である動植物性残さですが、どのようなものが該当するか知らない方は多いのではないでしょうか。
今回は、動植物性残さの具体例や処分方法、処理費用について詳しく解説していきます。
産業廃棄物の一種である動植物性残さとは、特定の業種の製造工程で発生した、動物性もしくは植物性の固形状廃棄物のことです。
液状や泥状のものは、動植物性残さではなく、廃酸や廃油、廃アルカリ、汚泥として分類されます。
特定の業種で排出される動植物性残さのみが産業廃棄物に分類されます。特定の業種というのは、食品製造業、香料製造業、医薬品製造業を指します。
飲食店など上記以外の業種から出た動植物性残さは、事業系一般廃棄物として処分する必要があります。どこで発生した動植物性残さなのかによって、処分方法が異なるので注意してください。
動植物性残渣の具体例として、以下のようなものがあります。
動物性残さ
植物性残さ
動植物性残さは再資源化の取り組みがおこなわれています。再資源化の方法として、以下のようなものが挙げられます。
動植物性残さを加工し、家畜の餌となる飼料に利用する方法です。たんぱく質を多く含む動植物性残さは飼料を作るのに適しています。動植物性残さ等を原料にした飼料を「エコフィード」と呼びます。
飼料化は、飼料自給率の向上にもつながります。飼料化を進めていくには、適切な分別や成分管理を行うことが重要です。
動植物性残さを分解・発酵させ肥料として再資源化します。リン酸や窒素などを含んでいるので、高品質な肥料を作り出せます。
廃棄物の削減につながるだけでなく、肥料を学校や農業で利用することで地域に還元することができます。
バイオマスエネルギーとして近年注目を集めている再資源化方法です。嫌気性菌群という細菌に動植物性残さを分解・発酵させ、メタンガスを取り出す方法です。メタンガスを発電設備のエネルギーやガスエンジンの燃料として活用します。
化石燃料の消費や温室効果ガスの発生を抑制につながる方法として期待されています。
再資源化が難しい動植物性残さは、焼却処分もしくは埋立処分が行われます。それぞれの処分方法を詳しく解説していきます。
焼却場で燃やして処分するのが焼却処分です。動植物性残さを処分するのに使用される、一般的な方法になります。
動植物性残さを埋立処分する場合は、水分との接触を避けるため、管理型最終処分場を利用しなければなりません。
管理型最終処分場は、廃棄物から発生するガスや汚水の流出を防ぎ、周辺の土壌や地下水に影響を与えないような対策がされています。ゴムシートなどによる遮水と浸出水処理施設の設置などの対策が施されているのが一般的です。
動植物性残渣の処理費用は、1kgあたり30〜50円程度が相場になります。大量に排出する場合は、大型の車両を使用するため、収集運搬費が高くなります。あくまでも目安の金額なので、料金の詳細は産廃業者に問い合わせてください。
動植物性残さの対象となるものや処分方法について解説しました。動植物性残さは、食品や医薬品を製造する過程で発生する産業廃棄物です。
栄養分が豊富に含まれているため、家畜の飼料や肥料に再利用することができます。また、バイオマスエネルギーとして再資源化し、電気やガス、燃料に利用することも可能です。
動植物性残さの再資源化は、廃棄物の削減だけでなく、二酸化炭素発生の抑制にもつながります。カーボンニュートラルや再生可能エネルギーの導入が話題になっている近年、注目されている取り組みの1つです。
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