工場・倉庫・配送センター・研究施設・などの事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方を解説します
工場などの事業活動によって出たごみは、二つのタイプに分類されます。それが、産業廃棄物と事業ごみ(事業系一般廃棄物)です。いずれのタイプも、工場で出たごみは正しく処分しないと、経営上のリスクになるため注意しましょう。
特に後者は事業系一般廃棄物とも呼ばれているもので、家庭ごみと内容は似ていますが、自治体のごみステーションに出せるとは限りません。
今回は、産業廃棄物と事業ごみ、それぞれの正しい廃棄方法を紹介していきます。
東京都23区で経営している工場から出た可燃ごみは、各区の規定に基づいた処分が求められます。基本的には事業ごみは自分で処理するのがルールですが、例外的に、一定の量までなら自治体のごみステーションに出せる区が多いです。
ただし、ごみステーションを使うと基本的に有料になります。使い方は区によって異なりますが、事業系廃棄物用のシールを購入して、区が指定しているごみ袋に貼付する方法が一般的です。シールの入手は簡単で、近年は役所の他にコンビニで購入できる区が増えています。
また、ごみステーションには大量の廃棄物を出すことはできません。区によって基準は違いますが、指定されたビニール袋の制限数を超えたり、総重量が10kg以上になったりすると、自身で処分する必要があります。制限を超える時は、自身で清掃工場などの処理施設に持ち込むか、民間の収集業者への委託を検討しましょう。
もしも、自身で処理施設に持ち込むなら、特別な許可手続きは不要です。予め清掃事務所に申請しておき、所定の日時にトラックなどで処理施設に運び込みます。運び込んだごみは重さによって、処分費用が変わりますので気を付けて下さい。使用車両や廃棄物の形状などによっては持ち込めない場合があるため、予め清掃事務所に相談しておきましょう。
自己での持ち込みができないなら、収集業者に依頼するのが選択肢です。ここで大切なのは、許可が与えられた業者を選ぶこと。工場などの委託を受けてごみを処理施設に持ち込むことを生業としている業者は、一般廃棄物収集運搬の許可を得ていないと、違法操業になります。
このような無許可の業者に委託した場合、自社も廃棄物処理法に違反する恐れがあるため注意が欠かせません。無許可の業者は不法投棄などの違法行為を行うリスクもありますから、怪しい相手は安易に信用しないようにしてください。
なお、工場から出る可燃ごみの中にも、産業廃棄物として扱うものがあります。つまり、燃えるからと言っても、常に事業ごみになるとは限りません。具体的には、各自治体の広報に目を通してください。例えば、食料品製造業で出た魚や肉の残渣は、産業廃棄物です。対して、従業員が弁当を食べた時に出る包装容器や食べ残しは、可燃ごみとして処理できます。
不燃ごみも各区の規定に基づいて処分しましょう。こちらも可燃ごみと同様に、一定の量までならごみステーションに出せるケースが多いです。もちろん、回収は基本的に有料で、産業廃棄物との見極めも欠かせません。
不燃ごみの場合は、従業員等が個人で消費したジュースの空き缶など、一部を除いて産業廃棄物として扱うものがほとんどです。産業廃棄物は事業ごみと異なる処分が必要になるので、注意してください。
都内で出るごみの8割程度が事業に由来するとも言われています。このため、東京都ではできるだけ、事業ごみをリサイクルにまわすよう働きかけているのが現状です。
例えば、食品工場には動物性の残渣を、飼料や肥料として資源化するよう求めています。他には、事業によって排出されるプラスチックごみについても、平成22年度に都が管理する埋立処分場での受け入れを停止しました。
今後は、このような動きが加速する可能性もあるため、資源ごみを捨てる時は収集運搬業者と相談して、リサイクルにまわせるような廃棄方法を考えるのが好ましいでしょう。分別を丁寧に行うなど工夫すれば、リサイクルが可能になる廃棄物は少なくありません。
なお、工場から出た資源ごみも、ごみステーションで回収している区が多いです。もちろん、捨てられる量に制限がある他、シールやチケットを購入する必要もあります。更に、自治体によっては、一般住民が分別に使うカゴやネットを使えません。事業ごみは別の方法で廃棄するよう定めているため、注意してください。
ちなみに、資源ごみとして捨てられるのは瓶や缶、ペットボトルなどが含まれます。資源ごみの分類と処分方法については、区の広報で確認するのがおすすめです。
工場でよく出るごみは、業種によって大きく異なります。まず、食品工場では動物・植物性の残渣が大量に排出されるのが一般的です。これは肉や野菜を加工した時に出るごみで、産業廃棄物に分類されます。
他には、排水処理汚泥や、包装に用いる発泡スチロール、段ボールも量が多いでしょう。排水処理汚泥は、食べ物を茹でたり洗ったりした後に、水に含まれた汚れをこしとって生じる残りかすです。捨てる時は脱水し、軽くしてから処理するのが一般的でしょう。
他の工場では、金属加工を行うなら鉄やアルミなどの削りカスの他、加工機材の冷却・潤滑が欠かせないので廃油も多いはず。木材加工の工場では、おがくずが大量に生じるでしょう。他にも、熱を使う場合は木炭や石炭の燃えがら、各種の炉からは煤も良く出るごみです。
化学系の工場では、高濃度の酸性およびアルカリ性の廃液も生じてきます。これらは、いずれも事業ごみとしては捨てられません。一般的な処理方法では環境汚染や人体への悪影響が懸念されるためです。
工場から出るごみは基本的に、大多数が産業廃棄物になります。このため、法律に従って、適切に処理することが欠かせません。具体的には産業廃棄物も、自身での持ち込みと、許可された収集運搬業者に委託する方法があります。
また、捨てるだけではなく排出量を減らし、リサイクルにまわすことも心がけたい点です。現在は多彩なごみを再資源化した結果、ゼロエミッション(廃棄物ゼロ)を達成したと発表している工場も増えてきました。資源を循環させることで企業イメージの良化や、廃棄コストの削減にも繋がるため、多くの事業者がゼロエミッションを目標に掲げています。
工場から出る粗大ごみは、ごみステーションでは回収していない区が多いです。数が少なくても、また、家庭で出る粗大ごみと種類が同じでも回収されません。なお、粗大ごみ受付センターへの持ち込みも、事業によって生じたものだと、受け付けは期待できないでしょう。
東京23区では行政による回収はもちろん、処理施設への持ち込みにも対応していないと明言している区が多々あります。実際には各区の担当窓口に問い合わせてみるのがおすすめですが、持ち込みに対応している可能性は低いようです。
粗大ごみの廃棄は、収集運搬業者に委託しましょう。業者と契約して、希望の日時に回収・処分してもらう形です。専門業者に任せれば、リサイクルを含めて適切に処分してくれます。なお、粗大ごみの廃棄も、各区の許可を得た収集運搬業者を選ぶことが大切。許可の有無は、東京廃棄物事業協同組合の公式サイトに記載されているので参考にしましょう。このサイトに掲載されていない業者だと、許可番号を偽っている可能性があります。