東京都千代田区の事業系ゴミ(産業廃棄物)の捨て方・条例・ルール・罰則を解説します
千代田区には、数多くの企業や個人事業主がオフィスを構えており、そのうちの約25.1パーセントが卸売業・小売業に従事しています。
また、学術研究と専門・技術サービス業の比率が14.9パーセント、宿泊業と飲食サービス業の比率が12.5パーセントとなっており、卸売業・小売業と併せて、これらの業種だけで全体の半数以上を占めています。
このことから、千代田区では、傾向として第三次産業に従事する事業者が多いということが分かるのではないでしょうか。
前述の通り、千代田区の事業者の約4分の1が卸売業・小売業に従事しているのですが、その中で特に多いのが飲食料品小売業です。これは、東京駅や有楽町駅の周辺エリアのように、区内に広大なデパ地下を有する百貨店や、近隣のオフィスで働くビジネスパーソン向けのコンビニエンスストアといった飲食料品を販売している小売店が数多く存在しているためです。
また、市ヶ谷駅や飯田橋駅のように、近くに優良な住宅街があるエリアには、そこに住む人々を対象にしたスーパーが複数あり、これが区内の飲食料品小売業者数を引き上げています。
東京駅周辺や御茶ノ水駅周辺に代表されるように、千代田区には大規模なオフィス街がいくつもあり、区内の多くを、商業における利便性を図ることに特化したエリアである商業地域が占めています。このエリアには、主にオフィスに加えて飲食店や百貨店が立ち並んでいるのですが、その他に住宅や規模の小さい工場なども混在しています。
そのため、区内で排出される事業ごみの多くは、書類などの燃えるごみとなっていますが、それ以外にオフィス用品などの大型のごみが大量に出るケースもあります。
千代田区の用途地域は、第一種住居地域、第二種住居地域、商業地域の3つに分類されています。このうち、第一種住居地域とは、良好な居住環境に特化したエリアであり、住居以外に店舗やオフィス、ホテル等の建設物を建てることも可能ですが、3000平方メートルまでという規制が設けられている点に注意しなければなりません。
この第一種住居地域は、紀尾井町から富士見にかけての一帯に多く設けられているのですが、それ以外に皇居や日比谷公園、靖国神社も含まれます。
次に、千代田区で事業ごみを出す際の方法について、見ていきましょう。
事業ごみは、事業系一般廃棄物と産業廃棄物に分類して処理しなければなりません。方法としては、事業者自ら処理施設に持ち込むか、許可業者に収集を委託するのが原則ですが、一日の排出量が50キログラム未満の事業所や商店については、区の収集に有料で出すことも可能です。
その場合は、事前に容量に応じた有料ごみ処理券を購入した上で、ごみ袋に貼付しておく必要があります。ごみ出しの際は、家庭ごみと同様に分類した上で、所定の収集日にごみステーションなどに出すようにしましょう。
一方、家庭ごみの場合は、有料ごみ処理券は必要ありません。燃やすごみ、燃やさないごみ、蛍光管等、資源、プラスチックに分けて収集が行われますので、家庭で分類した上で、所定の収集日に出すようにしましょう。なお、オフィス兼用の住居で事業を営んでいるような場合には、日常生活で出たごみと事業で出たごみを分けて処理するようにしなければなりません。
マニフェスト(manifesto)は、個人や団体が方針や意図を公に発信するための文書や演説のことを言い、産業廃棄物のマニフェストは、排出事業者が産業廃棄物の処理を産廃業者に委託するにあたり、委託契約内容に基づき適正に処理されていることを確認するために必要な事項を記載し交付される伝票のことを指しています。
排出事業者とはごみを出す法人のことを言い、東京23区については日量100キログラム以上排出する事業者もしくは臨時で排出する事業者は事業系一般廃棄物についてもマニフェストの作成が義務付けられています。
ここで、千代田区における産業廃棄物の処理に要する料金の相場を把握するために、区内で事業を営む代表的な5つの処理業者に45リットルのごみ袋1袋分の不燃ごみの処理を委託する際の料金を見ておきましょう。
ごみ.Tokyo | 約343円 |
A社 | 1,250円 |
B社 | 1,100円 |
C社 | 1,200円 |
D社 | 1,300円 |
E社 | 1,200円 |
千代田区では、国連が提唱するSDGsの達成に向けて、3Rの推進に取り組んでいます。この3Rというのは、リデュース、リユース、リサイクルの総称で、具体的には区内にリサイクルセンターを設けたり、フリーマーケットの開催を支援したりすることで、不用品の再利用を促進しているのです。
また、それ以外にもリサイクル情報誌の発行や、リサイクルタウンページの作成等、3Rに役立つ情報発信に努めることによって、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めています。
SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を省略した言葉で、2015年9月の国連サミットで国連加盟193か国が、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標を指しています。
SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に対する取り組みとして、日本でも産業廃棄物の排出に伴う適切な処理についてルールが整備されています。「つくる責任、つかう責任」にはターゲットと呼ばれる、11の更に具体的な目標が掲げられており、そこには具体的に以下のような内容が示されています。
11のターゲットの例:
・2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
・2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。