事業系ゴミの処分方法・基礎知識・処分の流れ解説
「飲食店で出たごみはすべて事業系一般廃棄物なのかな?」
「事業系一般廃棄物と産業廃棄物の規定を知りたい」
このように、運営している事業から出る廃棄物が事業系一般廃棄物と産業廃棄物どちらに該当するか、分からず悩んでいる方は多いのではないでしょうか。この記事では、事業系一般廃棄物と産業廃棄物の違いを詳しく解説していきます。事業系一般廃棄物と産業廃棄物は処分方法が異なるため、どちらに該当するかを理解した上で適切に処分しなければなりません。
間違った方法で事業系一般廃棄物と産業廃棄物を処分してしまうと、罰金や罰則の対象となってしまう可能性が。適切に処分するためにも、この記事をチェックしてみてください。
事業活動によって排出される廃棄物の中で、産業廃棄物に該当しない廃棄物すべてが事業系一般廃棄物です。
事業系一般廃棄物に該当する例は以下です。
・飲食店から排出される食べ残しや不要物
・スーパーマーケットから排出される期限切れの食品
・オフィスからでる紙くず
・造園業で排出される剪定枝や枯葉類など
産業廃棄物の種類の章で詳しく解説しますが、出版社で排出される紙くずは産業廃棄物の特定業種に該当するため、産業廃棄物扱いになるため注意が必要です。
事業系一般廃棄物を処分する方法は以下2つです。
・自ら自治体が定める処理施設に持ち込む
・自治体の許可を得ている一般廃棄物収集運搬業者に処理を依頼する
自ら自治体が定める処理施設に持ち込む場合は、事前に持ち込みの許可を得なければなりません。許可を取らずに持ち込んでも引き取って貰えない可能性があります。
もっとも簡単で一般的な方法は、自治体の許可を得ている一般廃棄物収集運搬業者に依頼することです。収集運搬と処分の料金を支払う必要がありますが、事業所の前まで取りにきてくれます。
事業系一般廃棄物で起こる罰則は以下が考えられます。
・自治体からの許可を得ていない一般廃棄物収集運搬業者へ処理の委託をした場合
→5年以下の懲役または、1,000万円以下の罰金(排出事業者も罰せられる)
・事業系一般廃棄物を家庭ごみと一緒に出した場合
→不法投棄に該当するため、5年以下の懲役または3億円以下の罰金
優良な業者の選定が重要なポイントです。間違っても家庭ごみと一緒にださないようにしましょう。
産業廃棄物は事業活動に伴って排出される廃棄物のうち、法律・政令で定められた20種類の廃棄物を指します。一般廃棄物より環境や人体へ与える影響が強い廃棄物が産業廃棄物です。
産業廃棄物も事業系一般廃棄物と同じく、排出した事業者が責任を持って処分することを義務付けています。また、排出事業者は、資源の有効化や廃棄物の減少に努めなければなりません。
産業廃棄物の種類は全部で20種類です。すべての業種が該当するものと特定の業種が該当するものに分かれます。
すべての事業者が該当する産業廃棄物 |
廃棄物の種類 |
廃棄物の例 |
①燃え殻 |
廃活性炭 |
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②汚泥 |
排水処理の汚泥 |
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③廃油 |
廃溶剤類 |
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④廃殻 |
廃写真定着液 |
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⑤廃アルカリ |
廃金属石けん液 |
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⑥廃プラスチック |
発泡スチロールくず |
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⑦ゴムくず |
天然ゴムくず |
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⑧金属くず |
鉄くず、アルミくず |
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⑨ガラス・コンクリート・陶磁器くず |
板ガラス、耐火レンガくず、石膏ボード |
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⑩鉱さい |
高炉 |
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⑪がれき類 |
コンクリートの破片、レンガの破片 |
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⑫ばいじん |
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業種が特定される 産業廃棄物 |
⑬紙くず |
建設業、パルプ・紙・紙加工品の製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業など |
⑭木くず |
建設業、パルプ・紙・紙加工品の製造業、輸入木材卸売業など |
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⑮繊維くず |
建設業、繊維工業 |
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⑯動物性残さ |
食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業 |
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⑰動物系固形不要物 |
家畜上でとさつ、解体の獣畜、食鳥処理場で処理 |
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⑱動物のふん尿 |
畜産農業から排出されるもの |
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⑲動物の死体 |
畜産農業から排出されるもの |
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⑳汚泥のコンクリート固形化物など産業廃棄物の処分をするために処理したもの(①~⑲に該当しないもの) |
産業廃棄物の処理は、収集運搬と処分を産業廃棄物収集運搬業者に委託するのが一般的です。専門の業者に依頼する際は、都道府県から許可を得ている産業廃棄物収集運搬業者かどうかを見極める必要があります。
都道府県のホームページから、許可を得ている産業廃棄物収集運搬業者を探せます。また、産業廃棄物の収集運搬と処分は別会社になることもあるので覚えておくといいでしょう。収集運搬と処分を委託した際は、必ず処分の経路がたどれるマニフェストの発行が必要になります。
※自治体によって産業廃棄物として扱われるごみと一般廃棄物として扱われるごみが異なります
産業廃棄物の処分で起こる罰則は以下が考えられます。
・都道府県から許可を得ていない産業廃棄物収集運搬業者に委託した場合
→5年以下の懲役または、1,000万円以下の罰金(排出事業者も罰せられる)
・マニフェスト違反
→1年以下の懲役または100万円以下の罰金
許可を得ていない業者に委託すると不法投棄をされる可能性があり、罰則がより厳しくなるため注意が必要です。
法律で指定されている20種類以外の廃棄物が事業系一般廃棄物です。廃棄物を処分する際は、産業廃棄物か事業系一般廃棄物かをしっかり区別しなければなりません。罰則を受けないようにするためにも、この記事を参考にして正しく処理に臨みましょう。